2019年5月11日 (土)

文楽5月公演の記事を東京新聞に

 3日の東京新聞の朝刊に文楽5月公演に関する記事を書いた。三味線の鶴澤燕三さんをインタビューしたもので、東京では15年ぶりの通し狂言となる『妹背山婦女庭訓』について。今回、燕三さんが担当する「芝六忠義の段」にスポットを当てたものだ。

 『妹背山ーー』は長編で、その中でも文楽版ロミオとジュリエットともいわれる「妹山背山の段」や、後半の酒屋の娘お三輪の激しい恋の悲劇が注目を浴びがちで、それらの段が単独で上演されることも多いのだけれど、“「芝六忠義の段」は、ある意味、蘇我入鹿討伐にまつわるこの長い物語の中核をなす段で、それだけにやりがいもある”と語る燕三さん。息子が処刑されると思いながら興福寺の鐘を聞いている母親。そこで鳴る三味線は鐘の音を模して、母の心の葛藤も表している……以前に見たときはそこまで意識しながら三味線を聞くことはできなかったので、今回はぜひ注目しながら、味わってみたいと思っています。

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2016年12月27日 (火)

感劇話その249 12月文楽公演はとことん忠臣蔵だった。

 年が変わらないうちに12月文楽公演のことを記しておかなければ。
 12月の文楽といえば例年は鑑賞教室が開催されるのだが、今年は国立劇場開場五十周年ということで、討ち入りのあった時期に合わせて『仮名手本忠臣蔵』を第一部、第二部に分けて、通しで。全11段を通しでやるのは珍しく、私も全段を見るのは初めてだった(1日で一気に、は10時間以上になるので、二日に分けましたが……)。
 第一部のハイライトはやはり塩谷判官切腹から城引き渡しの段へと続いていく部分だろう。和生さんの判官切腹のシーンは何度見ても見応え十分。水を打ったように静かになる会場。さすがだった。由良助が駆けつけてきたあたりで、もう涙と鼻水で鼻の周りがぐちゃぐちゃに。
 斧定九郎は落語の『中村仲蔵』を聞いて以来、密かに思い入れのあるキャラクターなんだけれど、文楽では意外にあっさりと描かれているからちょっと肩透かしな気分になってしまいがち……なのだが、もともと役どころとしては登場時間ともにそういう存在なのかもしれない。何しろ、全段通しは長丁場。
 第二部では、おかるの兄の寺岡平右衛門の存在が出てくることで、これまで見たものよりも話の流れがよくわかるのだった。心なしか、一力茶屋の段も山科閑居の段も、これまでよりもたっぷり詳しく上演されているような気分になったんだけど、これは気のせいだろうか。そして、これも初めて見た天河屋の段と、花水橋引揚の段。天河屋義平や、前半以来久々に出てくる桃井若狭之助らが俠気を見せ、彼らのような義士の周囲の人たちの行動が丁寧に描かれることで、物語に深みや面白さが増している気がした。やっぱり、端折らずにちゃんと見せる(見る)、って大事なんだよなあと改めて思った次第なのでありました。

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2016年9月19日 (月)

感劇話その248 9月文楽公演は見応えたっぷりだった。

 また3か月ほどブランクが……。毎年、オオカミ少年(つーか、オバちゃん)になっているみたいで恐縮です。が、ブログまだやめたわけじゃないので、念のため。
 今日は、本日千秋楽を迎えた文楽公演(於:東京)のことを。公演の幕が開く少し前、8月の下旬に、人形遣いの人間国宝、吉田文雀さんご逝去のニュースが飛び込んできた。今年の3月に引退を発表されてから半年も経っていなかったのだが、寂しい限りである。私が文楽にはまって15年余……文雀さんにはさまざまな女性の生き様を見せていただいた。
 私にとっての文雀さんといえば、やはり凛とした気品漂う武家の妻、みたいな役どころのイメージが強いのだが、たとえば『良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)』では、幼い頃に生き別れた息子の姿を追い求めてさまよう母の悲しさ、『関寺小町』では老いさらばえた我が身を思う小野小町の哀れさを見せてもらった。また、『摂州合邦辻』の玉手御前は、息子の俊徳丸に対する恋狂いの様子がとても激しくて、情念たっぷりの女性だった。他にも『菅原伝授手習鑑』の松王丸の女房千代、『絵本太功記』の明智光秀の母さつき、『奥州安達原』の袖萩の母、浜ゆう……印象深い女性は数々。ご冥福をお祈りします。
 3日に幕を開けた東京公演では、国立劇場開場50周年を寿ぐ出し物として『寿式三番叟』と、『一谷嫩軍記』が上演された。三番叟は能舞台のセットに翁と千歳が登場し、天下泰平を祈る翁の舞に続いて二人の三番叟が五穀豊穣を寿ぐ舞いを行うという本格的な内容。これまで見た中では、二人の三番叟の舞いのみのバージョンが多かったけれど、今回はフルバージョンで見応えたっぷりだった。
 『一谷……』もフルバージョン。これまでは後半の二段(熊谷桜の段、熊谷陣屋の段)のみの上演が中心だったが、今回は、初段、二段目と、三段目の最初の二つの段も上演。熊谷が我が子を犠牲にして敦盛の命を守り抜いた経緯がよりよくわかったし、脇が浜宝引きの段では、数人の百姓を巧みに語り分ける咲太夫さんに圧倒されて、楽しかった。このフルバージョン(通し狂言)は国立劇場では約40年ぶりのことだそうで。次の12月には『仮名手本忠臣蔵』も通しで上演される予定で、こちらも楽しみ。

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2016年2月27日 (土)

感劇話その247 2月文楽公演のこと

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 今月のうちに今月の文楽公演のことを書いておこうと。かなりテンパった日々だったけれど毎週末の文楽だけは行ってきたのでありました。今月は、嶋大夫さんの引退披露狂言もあったしね。

第一部
『靱猿(うつぼざる)』
狂言作品と比べるとコミカルで楽しい雰囲気が強かったように思う。歳のせいか、最近涙腺が弱く、とくに犬猫、動物ものには弱いのだが、人形のおさるさんの無垢な様子に思わず目頭が熱くなってしまう自分にちょっと唖然……。松葉目の能舞台を模した舞台美術は華やかでよかった。

信州川中島合戦(しんしゅうかわなかじまかっせん)』
(輝虎配膳の段、直江屋敷の段)
長尾輝虎、直江兼続らが出てきて、宿敵武田信玄の優れた軍師山本勘助を自分たちの軍師に迎えたいとあれこれ策を練る。この2つの段が同時に上演されるのは平成8年2月以来だそうで、山本勘助の母なる人物、越路という超気丈なおばあちゃんの奮闘を中心に描かれている。初めて見たが、ちかえもん、いや、近松がこういう時代物も書いていたとは知らなかった。とにかく越路の気丈さが目立ち、それゆえ最後は痛ましい結末に。この強さと自己犠牲の母のイメージは『絵本太功記』に出てくる光秀の母、皐月を思わせる。

第二部
桜鍔恨鮫鞘(さくらつばうらみのさめざや)』

(鰻谷の段)
主君のために奔走する夫を助けるために我が身を犠牲にして金を作り、挙げ句の果てに事情を知らない夫に逆上されて夫に切られてしまう妻、お妻(←これが名前)。文字を書けないお妻が事情を娘に伝言して覚えさせているが、それを父親に伝えるのはもうすべてが終わったあとで、悲劇を一層募らせる……どうにもこうにもお妻さんが哀れすぎて納得いかない話。男の身勝手さがまた浮き彫りになる。

八代豊竹嶋大夫引退披露狂言
『関取千両幟(せきとりせんりょうのぼり)』
(猪名川内より相撲場の段)
人間国宝の嶋大夫さんが引退する。個人的には『桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)』のチャリ場の嶋大夫の語りが大好きなので、引退狂言ではそういうのを期待していたところもあったのだが。この演目では、関取とその妻おとわの情愛を、寛治さんの三味線とともにじみじみと語っていらっしゃった(人間国宝の共演、贅沢)。にしても、第二部は二つとも妻が夫の男を立てるために我が身を犠牲にしてしまう話で、いつもわかっちゃいるけどなんだかなーと、心がもごもごしてしまう帰り道なのでありました。あと、相撲場へと舞台が変わる間に文楽で三味線の曲弾きを初めて観た。貫太郎さんが熱演だった。

第三部
『義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)』
(渡海屋・大物浦の段、
道行初音旅)
今月は、たまたま3部→2部→1部と週末ごとに観たので、これを観たのはもう2月の頭で、いろいろ忘れてきつつあるんだけど(笑)、勘十郎さんが知盛を力強く演じ、道行きでは勘彌さんの源久郎狐がコミカルだけど艶も感じさせてよかった。知盛が碇を頭上に掲げて海に落ちていくシーンではいつも初代玉男さんを思い出してしまう。

Img_5637a Img_5875a♪下旬になると国立劇場では梅が満開










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♪『関取千両幟』

 

 

 

 

 

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2016年1月11日 (月)

感劇話その246 バック・トゥ・ザ・2015年末のカンゲキその3 笑い納めは“才原警部”だった♪。

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 続いて、昨年のカンゲキを振り返る、の巻。2015の観劇納めは、世田谷パブリックシアターで『才原警部の終わらない明日』を観たのだった。この舞台、じつは事前に何も知識を入れずに行ったのだが、こんなにオモロい話とは知らなかった……終始笑いまくりだったなぁ。作・演出は福田雄一さん……33分探偵』、『コドモ警察』、『変態仮面』……思い切りバカバカしくて、でもちょっと突き抜けた笑いを手がけたらいまや右に出るものなし、の脚本家、演出家、放送作家、映画監督……なんだもん。可笑しいはずです。2015年も堤真一の舞台を数本見たけれど、堤さんのコメディ、やっぱりいいなあと改めて。さらに、勝地涼、鈴木浩介、志賀廣太郎、小池栄子、上地春奈、清水富美加、池谷のぶえと、“この人、何者?? ”的な濃いキャラの方々がずらりと出そろい、それぞれ一人複数役をこなしながら歌って踊って、なんかすごい勢いでお芝居が展開していく。え、ブラックジャック???? と、あっけにとられながら笑い続ける1時間50分。1年の観劇を派手に締めくくるにふさわしい舞台だった。
たしか年明けから今日までは大阪公演だったと思うけど、大阪の人もたくさん笑ったに違いありません。

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パンフレット撮影は加藤孝さん

 

 

 

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感劇話その245 バック・トゥ・ザ・2015年末のカンゲキその2 micさんの一人芝居

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 昨日に続いて昨年末のカンゲキを振り返る。11月末には約1年ぶりでmicさんの一人芝居に。ねこ女優、パフォーマー、シネマスタイリストとして活躍するmicさんの今回の舞台は『メルシィ、Wine!~ワインバーで生まれた4つの小さな物語』。ワインをテーマにしたコメディで、ワインバルやレストランを会場にして、お客さんが飲みながら鑑賞するというスタイル。2014年に第1弾をやったところ、飲んべのお客さんに大好評だったようで第2弾も華々しく上演されたというわけでした。
 とある老舗のワインバーにふらりとやってくる4人の男女。それぞれの人生模様に泣き笑いさせられる。作・演出もすべてmicさんご自身が手がける渾身の舞台。ちょっと角の立ったOL、初老の大学教授、ゲイバーのママ、そして、居酒屋のベテラン女将、と変幻自在のmicさん。中でも“幹子さん”というゲイバーのママは、縦横無尽に舞台からはみ出て踊りまくっていた。ダンスもキレキレ。風邪が治りかけで出がけはちょっと不安だったけど、途中からはそんな気持ちもどこへやらで、たくさん笑って元気をもらえた♪♪。

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ゲイバーのママ、幹子さんのダンスタイム

 

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2016年1月10日 (日)

感劇話その244 バック・トゥ・ザ・2015年末のカンゲキその1 文楽12月公演

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 今日明日は家で原稿書き。集中力が切れるとSNSやこちらをのぞいたりするといういつものパターン。というわけで、 昨日、今年最初の感劇話を書いたところで、忘れないうちに昨年末のカンゲキをメモしておくことに。まずは12月の文楽東京公演から。

 演目は『奥州安達原』と『紅葉狩』。『奥州安達原』は人物の関係がかなり込み入いっていて、いつもいまいちよくわかっていないまま見ている感じがする……。都の勢力に滅ぼされた奥州安倍一族の生き残りとして、再興を目指し苦心する貞任・宗任の兄弟と、源義家との対立を描いたストーリーは全五段ということだが、たいてい二段(朱雀堤の段、環の宮明御殿の段)の上演のみで、今回もそうだった。
 私が『奥州……』と聞いてまず思い出すのは、袖萩という女性の悲劇だ。袖萩は義家側の従者の娘でありながら、敵方の安倍貞任と駆け落ちした挙げ句、貞任とは生き別れ、落ちぶれ果てて娘と極貧の生活を送っている。彼女は夫がじつは安倍貞任であることを知らないまま、生き別れた悲しみで視力を失い、物乞いをしながら三味線を弾いて命をつないでいる。彼女は自分の父母とも断絶状態だが、ふとしたことで数年ぶりに父の消息を知ることになる。そして、父の一大事を案じて屋敷を訪ねていくものの、勘当された身ゆえ当然、体面は許されない。降りしきる雪の中で、必死の思いで三味線を弾きつつ自らの苦労の日々を語り、許しを乞う袖萩。そして、そんな母の身を気遣う娘のお君。このシーンはいつも涙を誘う。余談だが、歌舞伎ではこのシーンを含む「環の宮明御殿の段」を通称「袖萩祭文」という。祭文とは三味線を伴奏に歌われる謡のようなもののことだから、やはりこの段では、袖萩の三味線のシーンが一番の見せ場ということなのだろう。その後、二つの家族の悲しい再会へと話が続いていくのだが、なかなか重たい話です。
 かたや『紅葉狩』のほうは、美しく舞う姫がやがて復讐心に燃える鬼となって勇壮に立ち回るお話。こちらはとっても楽しい展開でテンポもよく、飽きさせない。

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上は『奥州安達原』、下は『紅葉狩』の1シーン


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2016年1月 9日 (土)

感劇話その243 今年も志の輔から始まる落語会。志の輔らくご in PARCO

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 お正月の恒例として2016年から行っている志の輔師匠の渋谷PARCOでの落語会。行くまでまったく知らなかったのだが、なんとPARCOがこのあと建て替え工事に入るらしく、お正月の志の輔らくごはとりあえず今年で終了、とのこと。つまり、工事の着工が来年の3月らしいので、1月にはビルの解体の最中なのかなんなのか、とにかくPARCO、もしくはPARCO劇場は営業していない、ということなんだろう。びっくりぽんですわ。志の輔師匠の落語が聞けなくなるというわけではないのだが、お正月の志の輔のPARCOはすっかり年中行事の一部になっていたので、来年はそれがないのかと思うと、ちょっと不思議な気持ちというか、これまでのことを考えると感慨深いものがあったり……はたまた、だったら来年の1月はどこでやるんだろうねぇと、相方のKちゃんとあれこれ詮索してみたり……と、とにかくちょっとザワついた話題であったことは確かなのでした。
 本編の落語のほうはというと、『大黒柱』、新版『猫忠』、『大河への道』の3席。伊能忠敬の偉業にまつわる『大河への道』を聞いたのは、たしか5年前のお正月以来だった。あのときはまだ震災の前だったということになる。志の輔PARCOといえば、映像や音楽など、ふだん落語では使わないアイテムを取り入れてみたり、志の輔自ら狂言をやってみたり、ママさんコーラスの面々がステージに勢揃いして志の輔が指揮をしてみたりと、落語の枠にとらわれないさまざまな新しい試みに挑戦してきたのが大きな特徴だったんだけど、今回の『大河への道』も5年前と同様、話が終わると映像画面に切り替わり、現在の日本地図と伊能忠敬が約200年前に完成させた日本地図が重なるシーンが映し出される……既に知っている演出であっても、改めて伊能の地図の正確さ、その神業に胸を打たれる。まさに、「大河に収まる男ではなかった……」という落語の下げが頭の中でリフレインする。『大黒柱』は新作だったようだ。満期になった保険金の使い道を巡って、夫と妻、子供との間で交わされる会話の“噛み合わなさ”がおかしくて、吹きっぱなし。『猫忠』は『義経千本桜』の源九郎狐の猫版といえるようなお噺にちょっとほろり、ともさせられて。終わってみれば3時間。今年も春からこんな中身の詰まった高座を聞けて、ありがたやありがたや♪♪。

A B

雲はどこへ飛んで行くんだろ......。

 

 

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2015年11月 4日 (水)

感劇話その242 9月文楽公演

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 文楽の記事もそろそろ校了に近づきそうなので、今のうちに9月の文楽公演のメモを。今回は第一部、第二部をプライベートで観劇したうえに、取材のための撮影にも一度、立ち会った(第二部)ので、国立劇場には計3回通ったことになる。第一部は『面売り(めんうり)』、『鎌倉三代記(かまくらさんだいき)』、そして『伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)』。『伊勢音頭……』はたぶん初めてだったと思う。名刀「青江下坂」の魅力というか魔力にとりつかれたように次々と人を斬っていく福岡貢の姿を見ながら、歌舞伎の勘三郎さんの『籠釣瓶』を思い出していた。
 第二部は『妹背山婦女庭訓』。これ、ここ数年でもちょくちょく上演されている。といっても、吉野川をはさんだ美しい桜の舞台の中で、二つの家の不仲とその息子、娘の悲劇を描く前半はしばらくご無沙汰で、どちらかというと後半(四段目〜)が多く上演されている印象だ。蘇我入鹿の討伐へと向かう求女(男性の名前です)と、彼をとりまく橘姫と杉酒屋の娘、お三輪との恋のつばぜり合い。愛する男を姫にとられまいと必死に抵抗してみるものの、嫉妬に狂った女の生き血が入鹿を倒す大切なアイテムになると聞き、最後は喜んで我が身を犠牲にするお三輪ちゃんは何度観てもかわいそう。今回も、勘十郎さんのお三輪ちゃん、ほんとに必死さが伝わってくるようでした。橘姫も結局は犠牲になって、求女はしっかり使命を果たして生き残る......いつもの不条理感、なんだかなー。でも、この悲劇が文楽。

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表紙は妹背山婦女庭訓。お三輪ちゃんは命が消える瞬間に近づくほどに大人っぽく見えてくるような気がする。

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2015年11月 1日 (日)

感劇話その241 チョン・ミョンフン&東京フィル@サントリーホール

 感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)


 先月はチョン・ミョンフン&東京フィルのコンサートにも行ってきた。お誘いいただいて。本格的なオーケストラのコンサートは久しぶりで、オルガンカフェに続き、ほんとにこの秋はクラシック音楽を楽しませていただきました。「椿姫」とマーラーの「巨人」。「椿姫」にはもちろん、ソプラノとバリトンの方々もご出演で、ソプラノの華麗なコロラトゥーラを体感。2階の席だったので、シンバルの方の動きもよく見えて、ちょくちょく目がいってしまったのも楽しかった♪。良質なオーケストラの音に揺さぶられて、気持ちよい夜でした。


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チョン・ミョンフンさんは初めてでした。

 

 

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