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2016年9月19日 (月)

感劇話その248 9月文楽公演は見応えたっぷりだった。

 また3か月ほどブランクが……。毎年、オオカミ少年(つーか、オバちゃん)になっているみたいで恐縮です。が、ブログまだやめたわけじゃないので、念のため。
 今日は、本日千秋楽を迎えた文楽公演(於:東京)のことを。公演の幕が開く少し前、8月の下旬に、人形遣いの人間国宝、吉田文雀さんご逝去のニュースが飛び込んできた。今年の3月に引退を発表されてから半年も経っていなかったのだが、寂しい限りである。私が文楽にはまって15年余……文雀さんにはさまざまな女性の生き様を見せていただいた。
 私にとっての文雀さんといえば、やはり凛とした気品漂う武家の妻、みたいな役どころのイメージが強いのだが、たとえば『良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)』では、幼い頃に生き別れた息子の姿を追い求めてさまよう母の悲しさ、『関寺小町』では老いさらばえた我が身を思う小野小町の哀れさを見せてもらった。また、『摂州合邦辻』の玉手御前は、息子の俊徳丸に対する恋狂いの様子がとても激しくて、情念たっぷりの女性だった。他にも『菅原伝授手習鑑』の松王丸の女房千代、『絵本太功記』の明智光秀の母さつき、『奥州安達原』の袖萩の母、浜ゆう……印象深い女性は数々。ご冥福をお祈りします。
 3日に幕を開けた東京公演では、国立劇場開場50周年を寿ぐ出し物として『寿式三番叟』と、『一谷嫩軍記』が上演された。三番叟は能舞台のセットに翁と千歳が登場し、天下泰平を祈る翁の舞に続いて二人の三番叟が五穀豊穣を寿ぐ舞いを行うという本格的な内容。これまで見た中では、二人の三番叟の舞いのみのバージョンが多かったけれど、今回はフルバージョンで見応えたっぷりだった。
 『一谷……』もフルバージョン。これまでは後半の二段(熊谷桜の段、熊谷陣屋の段)のみの上演が中心だったが、今回は、初段、二段目と、三段目の最初の二つの段も上演。熊谷が我が子を犠牲にして敦盛の命を守り抜いた経緯がよりよくわかったし、脇が浜宝引きの段では、数人の百姓を巧みに語り分ける咲太夫さんに圧倒されて、楽しかった。このフルバージョン(通し狂言)は国立劇場では約40年ぶりのことだそうで。次の12月には『仮名手本忠臣蔵』も通しで上演される予定で、こちらも楽しみ。

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