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2016年1月10日 (日)

感劇話その244 バック・トゥ・ザ・2015年末のカンゲキその1 文楽12月公演

感劇は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。)

 今日明日は家で原稿書き。集中力が切れるとSNSやこちらをのぞいたりするといういつものパターン。というわけで、 昨日、今年最初の感劇話を書いたところで、忘れないうちに昨年末のカンゲキをメモしておくことに。まずは12月の文楽東京公演から。

 演目は『奥州安達原』と『紅葉狩』。『奥州安達原』は人物の関係がかなり込み入いっていて、いつもいまいちよくわかっていないまま見ている感じがする……。都の勢力に滅ぼされた奥州安倍一族の生き残りとして、再興を目指し苦心する貞任・宗任の兄弟と、源義家との対立を描いたストーリーは全五段ということだが、たいてい二段(朱雀堤の段、環の宮明御殿の段)の上演のみで、今回もそうだった。
 私が『奥州……』と聞いてまず思い出すのは、袖萩という女性の悲劇だ。袖萩は義家側の従者の娘でありながら、敵方の安倍貞任と駆け落ちした挙げ句、貞任とは生き別れ、落ちぶれ果てて娘と極貧の生活を送っている。彼女は夫がじつは安倍貞任であることを知らないまま、生き別れた悲しみで視力を失い、物乞いをしながら三味線を弾いて命をつないでいる。彼女は自分の父母とも断絶状態だが、ふとしたことで数年ぶりに父の消息を知ることになる。そして、父の一大事を案じて屋敷を訪ねていくものの、勘当された身ゆえ当然、体面は許されない。降りしきる雪の中で、必死の思いで三味線を弾きつつ自らの苦労の日々を語り、許しを乞う袖萩。そして、そんな母の身を気遣う娘のお君。このシーンはいつも涙を誘う。余談だが、歌舞伎ではこのシーンを含む「環の宮明御殿の段」を通称「袖萩祭文」という。祭文とは三味線を伴奏に歌われる謡のようなもののことだから、やはりこの段では、袖萩の三味線のシーンが一番の見せ場ということなのだろう。その後、二つの家族の悲しい再会へと話が続いていくのだが、なかなか重たい話です。
 かたや『紅葉狩』のほうは、美しく舞う姫がやがて復讐心に燃える鬼となって勇壮に立ち回るお話。こちらはとっても楽しい展開でテンポもよく、飽きさせない。

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上は『奥州安達原』、下は『紅葉狩』の1シーン


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