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2011年2月13日 (日)

感劇話その159 紋寿さんの八重桐、大迫力__2月文楽公演@国立劇場

(“感劇”は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。) 

 今月は文楽の月で、3部制公演。先週、今週と、週末と祭日を使って一部ずつ見てきた。第一部『芦屋道満大内鑑』は陰陽師安部晴明の誕生にまつわる話。安部晴明は、人間の姫に姿を変えた狐(葛の葉)と人間男性との間に生まれた子供だが、数年後に本物の姫が現われて、狐の母は泣く泣く幼い晴明のもとを離れていく。しかし、子供である晴明は狐の母・葛の葉の温もりが忘れられずに母を呼び続ける。夫も、他人がなんと思おうと、狐であっても大切な我が女房、といって、結局、父と子は狐の母を訪ねて森へ……。家族の強い絆を感じさせるシーンが随所に出てきて、とくに狐の母が愛児・晴明との別れを惜しむところでは、切ない母の情愛が豊かに描かれて、涙を誘う。続く『嫗山姥』は近松のちょっと不思議な話で、自害した夫の魂が体内に入った妻・八重桐が受胎し、神通力を得て山姥となる。その八重桐は、敵と戦うときには鬼の形相になって次々と敵を投げ伏せていくのだが、鬼の形相になるときに、“ガブ”と呼ばれる鬼の顔の首(かしら=人形の顔のこと)が登場。敵を次々と投げ倒しつつ、八重桐の美しい顔が瞬時に“ガブ”に変わる様子は迫力満点で、見ていてもかなりハードそうな動きだし、人形遣いさんは大忙しそう。八重桐を遣う紋寿さんが大活躍だった。
 第二部は『菅原伝授手習鑑』から、道行詞甘替(みちゆきことばのあまいかい)、吉田社頭車曳の段、茶筅酒の段、喧嘩の段、桜丸切腹の段まで。桜丸切腹では、息子の桜丸の切腹を受け入れなければならない父、白太夫の抑えた悲しみがしみじみと伝わってきて、ここでも涙。勘十郎さんの白太夫が印象的。住大夫の語りも、白太夫の深い嘆きをじっくりと伝えてくる感じ。
 第三部は『義経千本桜』から、渡海屋・大物浦の段と道行初音旅(みちゆきはつねのたび)。大物浦では、最後に知盛が大碇を手に沖の大岩に上がっていくシーンで、亡くなった玉男さんの知盛を思い出してしまった。今回、知盛を遣っている玉女さんは玉男さんのお弟子さんだから、自然と動きも似てくるものなんだろうか。年齢も、背格好もぜんぜん違うのに……と、ちょっと不思議な気分になった。道行では、静御前が蓑助さんで、源九郎狐が勘十郎さん。第二部の桜丸切腹では桜丸が蓑助さんで、白太夫が勘十郎さんだったが、二人ともそのときとはがらりと違う雰囲気で軽やかに舞っていた。蓑助さんの静御前のかわいらしさはいつ見ても艶やか。
 てな感じの3部制で、なかなか盛りだくさんの今月。プログラムでは山川静夫さんの「文楽思い出ばなし」が第3回目を迎えていたが、今回もへえ〜と思うエピソードが出ていておもしろい。

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プログラムの表紙(左)と、ポスターにもなっていたカット(これはチラシ)は、いずれも『芦屋道満大内鑑』のヒロイン、葛の葉(狐の化身)。

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