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2010年9月30日 (木)

感劇話その152 洋服で、腰掛けて4席__花緑ごのみVol27@ニッショーホール 

(“感劇”は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。) 

 先週の祭日、久々に柳家花緑さんの落語会に行ってきた。花緑ごのみは、花緑さんが毎回自由な発想で好きなことをやる独演会。今回は、落語創作集団SWAの新作落語をまるごとカバーする、という面白そうな企画だった。SWAは、林家彦いち、三遊亭白鳥、春風亭昇太、柳家喬太郎、の4名で構成され、芸歴に関係なくメンバーが協議して自由な発想と柔軟な姿勢で落語を創作するグループ。できた噺は4人で共有しながら、より練り込まれた噺にしていくことを目指に公演を続けている、のだそうで。今回は、そのSWAの『明日の朝焼け』という噺を花緑さんがカバーする、というわけだ。『明日の朝焼け』は、SWAの4人がそれぞれ創作した4つの噺で構成されている。1つ1つでもちゃんと完結しながら、4つをつなげると、「たかし」という一人の男の子の11歳から還暦までを描いた長編の物語になっている。
 このところの花緑さんは古典落語のときは着物で、現代ものは洋服でやる、という“花緑スタイル”を続けているのだが、今回はそういう噺なので、終始洋服。ステージに4種類の椅子を配しつつ、その真ん中にボックスを置いてそこに腰かけて話すというスタイルだった。
 『恋するヘビ女』(by白鳥)、『夫婦に乾杯』(by昇太)、仲入り後に『臼親父』(by彦いち)、『明日に架ける橋』(by喬太郎)の4話からなる『明日の朝焼け』は、なかなか心温まるヒューマンストーリーになっていて、とくに夫婦間の会話や、会社での上司とのやりとりなど、聞いている人がみんなどこかしら、心当たりがあってぷっと吹き出したり、苦笑いしたりする部分を随所に散りばめながら、もちろん大笑いするところもバンバン出てきて、最後にはじんわり、ほろりとさせてくれる。長編なのにそんなに長さを感じさせない。残念ながら、私はそのどれもご本人たちの高座を聞いたことがないので比較はできないのだが、これが花緑さんのオリジナルと聞いても違和感がないような感じにしっくりきていたと思う。夫婦の微妙な会話と心のやり取りとか、そういう機微みたいなものがよく出ていたと思うし、なんか、良質のホームドラマを1本見たような気分になった。“ヘビ女”の愛称をつけられた「たかし」の伯母さんが、要所要所に現われてスパイスを利かせていたり、なかなか練り込まれたよいお噺だと思います。今度、それぞれSWAのオリジナルでも聞いてみたいな。そして、1〜2年前から始まった花緑さんの“スーツ落語”の試みも、これはこれでとてもうまくいっているのではないかと思ったのでした。
 ところで、この日は虎ノ門の駅から会場にいくほんの5、6分の間にゲリラ豪雨の襲来を受け、傘など役に立つはずもなくあっという間に今世紀最大のずぶ濡れになってしまった。仲入りの頃くらいにはブラウスもけっこう乾いてきたりはしたのだが、やっぱり身体は冷えていると思われ、終わったらまっすぐ帰ってお風呂に入りたかったのに、帰りついて鍵をあけて入ろうにも内側のフックがかけられていてドアが開かず。中では夫が爆睡中。何回ピンポン鳴らしても、夫の携帯に電話しても起きないし、えらい寒い日だったので、仕方なく携帯にメールを残して近所のタリーズで待機……。濡れたジーパンと靴が冷たく、あったかいコーヒーとドーナツはおいしいけど、せつなかった……。結局、小一時間して目覚めた夫からメールがきて、帰ってお風呂に直行したのだけれど、思えばその翌日から徐々に風邪っぽくなってきた元凶は、この閉め出し事件にあったのではないかと思うのでありました……。

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4人をカバーする花緑さんのチラシです。

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