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2010年4月17日 (土)

感劇話その138 なんとも不思議な味わいの『藁人形』__月例三三独演@国立演芸場(4/6)

(“感劇”は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。) 

 これもまた書きそびれていた、今月の三三さんの落語会。数日前の生志さんの会のときのいきさつがあったので、国立演芸場はてっきり9時半くらいにはしっかり閉館と決められているのだろうと思っていたが、この日の三三さんの会が終わったのは9時半近く。てことは10時にはしっかり閉館なんでしょうか。なーんて、どうでもいいことではありますが、とにかく、この日はいつにもましてみっちり、むっちりと落語が詰まっているような感じでした。
 なにしろ1席目の『浮世床』からしていきなり1時間弱、快調に喋った三三さん。『浮世床』は、髪結い床(床屋)に集まって時間待ちをしている男たちの様子を描写したもので、短い話がいくつかオムニバス形式で紹介される。最後には全体の噺が何かつながるのかな〜と思いながら聞いていたが、それはこちらの勝手な思い込みで、それぞれ全然関係のない話が次々と登場するのであった。
 字がよく読めない男が『太閤記』を読み聞かす話があったり、将棋に夢中になっている人にちょいといたずらをしてみる男がいたり、昼寝を起こされた男が女性にモテた夢の話をしたりと、サロンと化した床屋で起こるさまざまな情景が描き出される。将棋に没頭するあまり、自分のキセルにいたずらされたことがわからずに煙草を吸おうとしてアチチチ、となる男の繰り返しがおかしかった。しかしこんな目まぐるしい話をよくもまあスラスラと話せるものだわ……ってプロだからそうなんだろうけど、改めてちょっと感心しちゃった。
 2席目は『藁人形』。女郎に騙される坊主の話だが、これは怪談話なのか復讐劇なのか、どうなるんだろう……と思っていたところにあっさりサゲが来たのでちょっとぽかんとしたのだけれど、笑える噺ではないんだけど暗くて重ーいわけでもなく、これからおどろおどろしい展開が!? と思ったりしたところで終わるのでそんなに怖いというわけでもなく、なんか不思議な雰囲気の話だったけど、妙に印象に残ってしまった。この二つが終わって仲入りになったところでもう8時半をまわっていたので、あと2席はどんだけいくんだろうと思いながら、仲入り後は鈴々舍わか馬さんの『犬の目』。これまた不思議な噺で、目が悪くなった男が医者に行って治療してもらうのだが、医者は目玉をそのままくり抜いて洗浄、元に戻そうとしたら水でちょっとふやけてしまったので縁側に干していたら、それを飼い犬が食べてしまい、仕方がないのでその犬の目を患者にはめ込んで……と、シュールなのか滑稽なのかわからない噺が展開する。わか馬さんの気の抜けたような、歌うようなとぼけた語り口が噺の雰囲気とうまく合っていた。てっきり新作なのかと思っていたら、18世紀に書かれた話を元にした古典落語でした。
 三三さんの3席目は『明烏』。先日の円楽さんのときは、遊び人の源兵衛と多助の会話で始まったが、三三さんは若旦那・時次郎の両親の会話で始まった。時間が押していたからそれなりのアレンジもあったのだろうか。吉原デビューを飾る若旦那のとぼけた堅苦しさみたいなものが、よく出ている気がした。でも今回はやっぱり『浮世床』のアチチな男の会話といい、『明烏』の現兵衛&多助といい、快調にまくしたてられるべらんめえ調がやっぱりうまいなあという印象が強かったかな。とにかく盛りだくさんな充実感がありました。

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いつものプログラムも今月は桜色。

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