« ちょっとだけ焦ってきた……、 | トップページ | 北へ向かっています。 »

2010年3月14日 (日)

感劇話その136 種平さん飛び入り、の米團治独演会@東京芸術劇場(3/10) 

(“感劇”は、感激と観劇を合わせた勝手な造語です。念のため。文楽、歌舞伎、落語、お芝居その他ライブの感想をまとめています。) 

 時々わからなくなることがあるのだが、いったい週の始まりは日曜日なのか月曜日なのか。どちらが正しいんだろう。土日を週末というからには、1週間の始まりは月曜日ということになる。でも、日曜日を週の一番最初に配置しているカレンダーもたくさんある。いったいどっちなんだろう。というのも、こないだの水曜日に落語を聞きにいったことを書こうとしているんだけど、今日の日曜日が週の終わりの日であるなら、「今週の水曜日に」となるし、今日の日曜日が週の始まりの日であるなら、「先週の水曜日に」となるわけなんだよね……はてさて。やっぱり日曜日が初め、が正しいのかなあ……そんなら週末に日曜日は含まれないの? と、いつまでもあれこれ悩んでても仕方ないので、とにかく始めます。
 こないだの水曜日、米團治の独演会に行ってきた。米團治、久しぶり。開口一番の桂米市さん(小噺2題)の持ち時間が5分、で、お次の桂佐ん吉さん(『田楽喰い』)の持ち時間が10分、とまあ、えらく短いもんだと思っていたら、次に米團治が登場してきて説明。飛び入りで林家種平さんが仲入り後に入ったことによって、お弟子さんの持ち時間がえらく圧縮されてしまったということなのだった。きっと、ホールの終演時間が決められているんだろう。個人的に見に来ることにしていた種平さんを、せっかく来るならと、米團治が高座にお誘いしたような感じらしい。にしても、聞いているほうは、なるほどこんなこともあるんだねえという感じで、高座にいる米團治は、「独演会ってほんとになんでもやりたい放題なんですねえ!」と、ちょっと嬉しそうだった(私にはそう見えた)。
 米團治の1席目は『どうらんの幸助』。喧嘩の仲裁をして酒をごちそうするのが趣味、という真面目な男、幸助が巻き起こす騒動の噺。浄瑠璃のネタが出てくるところが上方落語らしいというのか、文楽好きな私には二倍楽しいお噺だった。出てくる浄瑠璃は『桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)』という、帯屋の長右衛門と娘お半の心中話なのだが、その話の中で、姑が嫁をいびるくだりがある。浄瑠璃のお師匠さんの家からそのあたりを語るお稽古の声が聞こえてくると、その台詞を現実のことだと思い込んだ幸助さんは、その仲裁に乗り出し、あろうことか、大阪からお話の舞台である京都まで出かけていく……という、なんともとんちんかんな内容なんだけど、幸助さんはいたって大真面目、だからこそさらに笑えるというもので。義太夫の語りがそこそこできないといけない落語もあるのねえ、と感心してしまった。米團治の義太夫節は、なかなかだと思った。
 仲入り後、件の種平さんが登場して『ぼやき酒屋』。これはもとは桂三枝の創作落語らしいが、奥さんが自分より飼い猫の病気の方を心配するとか、最近の歌は歌詞を聞いてもなかなかすぐには意味が分からないとか、ぼやき続ける居酒屋の客。種平さんのとぼけた“ぼやき”具合がとてもよくて、噺に合っていた。ぐらぐらに熱い焼酎のお湯割を頼んで、それを冷まして飲むのが好き、というところは笑えるし、厚揚げとかつおぶしの描写など、なかなかリアルでおもしろい。
 最後は米團治がもう1席。『一文笛』。腕の立つスリが出てくる人情話。米團治の父、米朝師匠が作ったお噺だそうで、ほろりと泣かせたと思ったところに一転、サゲでは、あれ?? と、ガクンときて笑わせる。泣かせるだけでなく、いわゆる“盗人根性”とか、“自己満足でしかない人助け”みたいなことについて深く考えさせられる教えのようなことも含まれていて、味わい深いお噺だと思う。じつは、件の種平さんはこの噺を自分も話したくて、米朝の息子である米團治に許可を得るために(あるいは、許可を得たので米團治の『一文笛』を聞いておこうと思ったのか、で)この日の独演会を訪れていたとのことで、それで飛び入り、ということになったのだそうで。『一文笛』、米朝さんでも聞いてみたくなってしまった。それにしても、相変わらず米團治にはなんともいえない華があるというか、粋な雰囲気があるというか、それはやっぱり若旦那の血のなせる技なのかなあ……。ああ、また長々と書いてしまった。なんだか最近、落語とか文楽とかのカンゲキ話がついつい長くなってしまう。最後まで読んでくださった方、どうもありがとうございました。

201003101838000201003102051000


チラシ(左)と、この日の演目なり。

« ちょっとだけ焦ってきた……、 | トップページ | 北へ向かっています。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 感劇話その136 種平さん飛び入り、の米團治独演会@東京芸術劇場(3/10) :

« ちょっとだけ焦ってきた……、 | トップページ | 北へ向かっています。 »