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2009年6月 3日 (水)

感劇話その100 キャラが立ちまくりで愉快痛快。小三治の『お化け長屋』

 下丸子で落語会。小三治をお目当てに出かける。原稿締め切りが迫っていたが、これはやっぱりあきらめるわけにはいかん。下丸子駅のすぐ前にある大田区民プラザへ出動。
 出演は、春風亭朝呂久、古今亭菊六、桂藤兵衛、仲入りの後、桃月庵白酒、そして小三治。菊六は『豊竹屋』。義太夫が大好きで、見たこと、聞いたことをすべて義太夫風に喋るという面白い男の家に、口三味線が得意という男がやってきてセッションする。菊六さん、初めて聞いたが、義太夫風の語りもなかなか上手で、テンポもよく楽しかった。藤兵衛は『そば清』。蕎麦の大食いチャンピオンみたいな清兵衛さんが、蕎麦60杯だか70杯食べたら3両だか5両(詳しくは忘れた)、という賭けに挑むのだが、さすがに60杯だか70杯は未知の領域なので自信がない。そんなとき、人間を丸呑みしてふくれたお腹のうわばみに遭遇。そのうわばみが、人を溶かす威力を持つ赤い草を舐めてふくれたお腹をすっきりさせる様子を見た清兵衛さん。これだ、と、その草を取って帰り、蕎麦食いの賭けに挑戦するのだが……。前に志の輔でも似たようなお話を聞いた覚えたあったが、蕎麦を食べる様子がなんともリアルで、まじで食べたくなってくる。
 白酒さんは『代脈』。名医の弟子、その名も銀南が、師匠の代わりに往診にいって脈を診てくる。先生に教えられた通りのことをやるつもりが、持ち前のボケキャラでいろんなドジや失態をやらかしてしまう。以前聞いた『青菜』という噺にも似た、いい行いをした人の真似をしようとして、結局は台無しにしてしまうというとぼけたお噺。白酒さんのほのぼのしたキャラクターと相まって、さらに笑える。トリの小三治は『お化け長屋』。長屋のいちばん端の部屋があいているのだが、そこは長屋の住人たちが、漬物樽を置いたり、雨の際の洗濯物の一次避難場所としてけっこう便利に使っているので、住人たちとしては空き家のままであってほしい。そこで、部屋を借りようと訪ねてくる人に、あの部屋にはお化けが出る、と嘘で脅して追い返そうとするのだが・・・。
 マクラで昔の寄席の、怪談話の際の演出などについて話したあとに、『お化け長屋』。マクラの出だしに、「とくに話すようなこと(話題)もないんですけどねぇ」といっていたが、やっぱりちゃんと計算されている。それにしても、出囃子がなって登場してきただけで場内の空気が一変し、あー・・・、とか、うーん・・・、とか声を発しただけで笑いを引き起こす、すごい存在感。お客さんも、なにを言うんだろう、という期待感一杯で、小三治の言葉を待ち構えているような感じだ。マクラのときは声もなんとなく小さめで、今日は調子が悪いのかなと思ったりするのだが、噺が始まり、乗ってくると声量も豊かでハリも出て、勢いも増してくる。長屋のおかみさんたちが雨にあわてて洗濯物を取り込んだり、移動させたりするときの描写が楽しい。べらんめえの男とお化けの話をする長屋の木兵衛さんの対比も愉快。それぞれのキャラクターがしっかり際立っているから状況もありありと目に浮かんでくる。表情を見て、語りを聞いて、幸せな気分にさせてくれる噺家さんだなあとつくづく思った。

200906071244000


”プラザ寄席”のプログラム。

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