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2009年6月14日 (日)

感劇話その102 唸った。『江戸の夢』__志の輔noにぎわい

 毎年、年末になると、“今年の汚れ 今年のうちに”というCMの名文句がテレビから流れて気分があせってくる(?)のだが、今週の“感劇”は今週のうちに、ってもう日曜日になったから先週になるのかな……。というつまらない話はいいとして、そう、先週は落語会が続いたのだった。しかも2日目は火曜日。ぎっくり背中になった日である。しかしその夜は、ひさびさの志の輔@にぎわい座。どうする??? って少し悩んだが、ここにも書いたように、痛みがさほどひどくなく、歩けたので、“そんなにひどくない痛みだけど安静にしていること”と“ひさびさの志の輔”を天秤にかけたら、志の輔が勝ってしまったのだった。で、湿布薬貼って行ってきました、にぎわい座。
 まず、お弟子さんの『子ほめ』。若手さんが出てくると、この噺をする人が多い気がするんだけど、練習用のネタとしても手頃なのかな……。
 志の輔が登場し、マクラは案の定、先日、「喫煙をやめてほしい有名人」の第一位になった話だった。ご本人は、過去に約1年間、禁煙していた時期があったが、その間、どうにも落語のできが悪くて難儀した、というようなことをいって抵抗? していた。そして、サッカーの岡田ジャパンの対ウズベキスタン戦の審判にも怒っていた。
 1席目は『はんどたおる』。これは志の輔の新作落語。久々だったけど笑った〜。この夫婦の会話の素晴らしいすれ違い様というか、“噛み合わなさ”というか、よ〜く出ていて、まじで笑える。この噺みたいな天然風の奥さんをやらせると、志の輔は本当にうまいと思う。笑いすぎて思わずのけぞらないように(背中にキケン)、それだけ注意しながら聞いていたけど、よく笑った。
 仲入り後、太神楽の翁家勝丸さん。傘や毬を使ったこういう曲芸が入ると、ぐんと寄席のような雰囲気になって楽しい。紙切りの人なんかも好きだ。「志の輔noにぎわい」はたいていこんな構成で、漫才とかコントの人たちなんかも出てくる。
 再び志の輔。マクラに加賀の千代(加賀の千代女)や子規の俳句の話をして、2席目は『江戸の夢』。庄屋の娘の婿になった奉公人の藤七。6年前にやってきた頃から藤七が一貫して氏素性を明かさないので、最初は娘の結婚を反対した母親も、彼の真面目な働きぶりや誠実さに大満足。すっかりみんなから信頼されている。ある日、庄屋の夫婦が兄の還暦のお祝いで江戸に行くことになり、意外なことから藤七の父親が判明する……。
 うーん。唸りました。不始末をおこし、そのことで親に迷惑をかけまいと家を出た息子。でも、その一子相伝の技術はけして忘れることはなかった……豊かな語りからストーリーの素晴らしさもしみじみと伝わってくる。最後の俳句を聞いたとき眼に映る青空の清々しさ。やっぱり志の輔はいいな〜、と素直に思った。
 『江戸の夢』は劇作家で落語や歌舞伎の話も多く書いたことで知られる宇野信夫の作。6代目圓生がよく話していて、志の輔が圓生師匠のご遺族に了解をとりに行って数年前から高座にかけている、のだそうだ。夏の志の輔の定番になっている『牡丹灯籠』の通しといい、いろんな文献や資料を丹念に調べて掘り起こし、そこから自分なりのネタを練り上げていく志の輔の研究熱心な一面が垣間見える気がした。幸い背中が痛むこともなくいい気分のまま家に戻り、その後は数日安静にして、現在に至っている、というわけで。

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コメント

むらなかさん、ご訪問ありがとうございます。落語会もやるのですか〜、すごいですね! どんなふうになるんだろう。またお邪魔させていただきます。

投稿: わらB | 2009年6月19日 (金) 11時56分

日向堂の中村です。
徳田さんの展示にいらしていただいてありがとうございました。
あれからお名前で調べて楽しく覗かせていただいております。
実は落語、あの空間でやります。
若手の方でご縁があったかたがいらしたので、お互い成長できればいいなあと思っております。

さすがにライターさんのブログ、楽しいです!

投稿: むらなか | 2009年6月18日 (木) 00時38分

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