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2009年5月24日 (日)

感劇話その99 またまた女性の強さが光る__5月文楽公演第二部

 第二部を見てきた。演目は『ひらかな盛衰記』。ちょっと蘊蓄をプログラムから抜粋すると、これは元文4年(1739)4月に大阪竹本座で初演された全五段の時代物で、『ひらかな盛衰記』というお題は、“ひらがな”のようにわかりやすく書かれた『源平盛衰記』という意味なんだそうで。今回は二段目と四段目が上演され、坂東一の風流男と讃えられた梶源太景季(かじわらげんだかげすえ)と、源太に尽くす腰元、千鳥(のちに傾城梅が枝)の献身を中心に描かれている。
 故あって戦での先陣争いに敗れた責任をとって切腹しようとする源太。だが、理由をすべて知った母の延寿は自害を許さず、源太を勘当して追放、源太の恋人の千鳥も追放して息子に同行させることで、親の愛を示す。手柄をたてて汚名を挽回する機会を画策しながら暮らす源太を養うため、千鳥は遊女・梅ヶ枝となって遊郭にお勤め。ついに、源義経が一の谷で戦をするという情報を得た源太はそこに自分も参加しようと軍資金を集め、梅ヶ枝に預けておいた拝領の鎧をとりに遊郭へ。しかし、梅ヶ枝は源太と逢うお金を工面するために鎧を質に預けてしまっていた。鎧を取り戻すためには三百両が必要。鎧がないことを知って自害しようとする源太を梅ヶ枝がとめ、客をたぶらかしてお金を工面すると伝えると、感謝する源太。しかし、じつは梅ヶ枝にはそんなあてもなく、切羽詰まった挙句、来世で無間地獄に落ちるという“無間の鐘”を撞く……。“無間の鐘”という鐘を撞くと、この世では裕福になるが、来世では無間地獄に落ちるといわれ、梅ヶ枝はそれを承知で夫のために鐘を撞くのだが……。
 まあ、ハッピーエンドの話ではあるんだけど、後半、梅ヶ枝の父の敵がじつは源太の父だった、というようなエピソードも加わってやや複雑な人間関係になってくる。梅ヶ枝がどんな気持ちで三百両を手に入れたかも考えず、金を手にしたらさっさと戦に向かおうとする源太は、どんだけいい男かもしれないけど、やっぱり自分の出世のことしか頭にない身勝手な男(にみえる)。対して、三百両を用意した挙句、息子の代わりに自分が討たれることで梅ヶ枝姉妹の敵討ちを終わらせようとする母・延寿と梅ヶ枝の献身ぶり、心の凛々しさの、なんと際立つことか。武士の母、武士の妻の心意気があっぱれな女性陣。またしても、女性の強さが光ったお話でありました。
 勘十郎さんの遣う梅ヶ枝にもうっとりだけど、『神崎揚屋の段』を語った嶋大夫さんの声量というか、豊かな語りに圧倒された。

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一途でけなげな梅ヶ枝(左)と、源太

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