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2009年2月21日 (土)

感劇話その87 江戸の大罪、美徳……。文楽二月公演

 今月の文楽東京公演は三部構成。先々週に第三部、先週は第一部、そして今日は第二部と、週末ごとに一部ずつ小分けにして見て来た。第三部以外は初めて見る演目で、どれも見応え充分だった。

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第一部/「鑓の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)」。姦通なんてしていないのに、愛する夫に武士の面目を立たせるために、不義者の汚名を着て討たれる道を選ぶ妻。しかし、巻き込まれる権三のほうはたまらない。とはいえ、権三にも脇の甘さが合ったから自業自得、なのか……(写真はプログラムの表紙です)。

 なんで、なんでこんなことになってしまうのか……と、もどかしさとともに運命のいたずらの恐ろしさを感じてしまう話。姦通が大罪で、姦通をした妻を夫は討たなければならない、という江戸時代ならではの悲劇というか、不条理というか、珍事というか……ま、妻の方は、精神的には夫を裏切ったことになるとは思うんだけど......。しかし、あり得ないよーこんなの、と思いながらもぐんぐん引き込まれていくストーリーの力は、さすが近松。

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第二部/「敵討襤褸錦(かたきうちつづれのにしき)」。こちらも、敵討ちが武士の美徳とされた江戸ならではの話。苦労の末に、仇討ちを見事成就させる兄弟(プログラムの中写真より)。



 刀の切れ味を試すために死刑となった罪人を使うという話は聞いたことがあるが、この話に出てくる武士たちは、罪人がちょうどいないからといって、非人(乞食)を斬ろうとする。しかも、乞食(乞食というのはじつは、数年間、敵を捜しながら身をやつしてしまった兄弟のことなんだけど)に会いに行って、斬らせてほしいと申し出るところはちょっと驚いた。闇討ちは卑怯だからせめて正攻法に申し出よう、ということなのか……。試し斬りをしに行ったものの、兄弟の心根に感じ入って協力してくれることになる武士のおかげで、仇討ちは見事成就するんだけどね。

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第三部/「女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)」。近松の定番的人気の演目。見るのは3度目くらいか。前回は、豊島屋のお吉が蓑助さん、与兵衛が勘十郎さんだったが、今回はお吉が紋寿さんで与兵衛は再び勘十郎さん(これはチラシの写真)。


 前回は、スライムのような樹脂のようなものを使って油を表現していたが、今回はそんなのはナシ。ただ、舞台の端から端へつーーーーっと移動する大きな動きで油の滑りを表わす演出で、これはとてもよかった。相変わらずの与兵衛のダメダメ男ぶりというか、ならず者ぶりは、あきれるほど頭にくる。私の中では、文楽に出てくるダメダメ男ワースト3に入るキャラだ。

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