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2008年10月25日 (土)

感劇話その75 キャサリン・ハンターの変幻ぶりに絶句。野田地図『The Diver』

 書きそびれていたのだが、沖縄に行く前に、野田地図の舞台『The Diver』を観てきた。去年の『THE BEE』に続き、イギリスで現地の俳優たちと一緒になって作り上げた舞台で、ロンドンと東京で上演というのも去年と同じ。去年のほうは見逃してしまったが、今回の舞台には去年の作品にも出演した英国の女優キャサリン・ハンターが出ているので、ものすごく楽しみだった。
 不倫相手の家に放火して、意志を持ってその子供を死なせてしまった女性を演じるキャサリン、彼女を診断する精神科医を演じるのが野田さん、というシーンから始まる。やがて、女に『源氏物語』の登場人物である桐壺や葵の上、六条御息所などが次々と憑依したり、能の『海人(あま)』の題材がからんだりしながら、女の取り調べから刑の執行へとストーリーが展開していく。なかなか難解なお芝居なのだが、キャラクターによって人格、顔つきまでもが目まぐるしくくるくると変わっていくキャサリン・ハンターの演技はとにかく圧巻。かなり目を奪われる。扇をピザに見立てたりする小道具の使い方や、けして派手な素材は使っていないのにもかかわらず、色や形が効いている布の使い方などもおもしろかった。
 重い題材なので観終わった後のスッキリ感、はないのだが、野田さんがパンフレットに寄せた文章でも書いているように、一見「現代の一人の女性が犯した大罪」を描いているようでありながら、そこに「甘やかす女」と「甘やかされる男」という普遍的な男女の関係から起こる大罪も見えてきたりと……、いろんなことを後から後から、いつまでも考えてしまうような、ものすごい存在感のある舞台だった。

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帰りの電車の中で、パンフレットのからくりに気づいてびっくり。表紙周り以外は全部袋とじになっていて、開けると中は舞台の名場面集。これは贅沢。 

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