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2008年8月31日 (日)

感劇話その68 流れる雲に目をやりつつ、薪狂言

 「横浜能」の2日目、茂山家が演じる「薪狂言」を観に行ってきた。「薪狂言」とは、夜に屋外で行なわれる狂言のこと。屋外に能舞台を作り、その周りにかがり火を灯して演じられる狂言。演じられるものがお能の場合は「薪能」となるわけだ。場所は、横浜能楽堂のすぐ裏手の掃部山公園。
 8月末の薪狂言。普段なら、まあちょっとは蒸し暑くても、浴衣姿かなんかで行ったりして、気の早い秋の虫の声なんかもちょっと聞こえてきたりして、風流ねえ……、てな感じのはずなんだけど、なにしろ今年は今の時期、毎晩ゲリラ豪雨の襲来、というリスクがあるので気分はフクザツ。昨夜、行なわれる予定だった1日目「薪能」のほうは、案の定、夕方からガンガンに降っていたので能楽堂の中で行なわれたということだが、今日は日中たまに晴れたりもしていて、開演時間(18時半)近くになっても雨は無いので、予定通り、公園のほうの席につく。
 かがり火が灯され、舞台の後方に、この公園のトレードマークである衣冠束帯姿の井伊直弼の銅像が浮かび上がる(もともとこの公園は、直弼を忍んで旧藩士たちがこの銅像を建てたことから始まっている)。予定演目は、『鳴子遣子』、『鬼ヶ宿』、『千鳥』(ちりちりや、ちりちり〜♪、です)の3曲。なかでも『鬼ヶ宿』は、直弼が作り、お抱えだった茂山千五郎家に与えた狂言の秘曲、だそうで。エピソードも十分おもしろい……のだが、なにしろ気にかかるのは空の様子で、舞台に目をやりつつも、背後の直弼の銅像と木々のシルエットの間にぽっかりあいた、空の様子が気にかかる。
 雲がどんどん動き、空が現われてほっとしたかと思うと、またすぐにぶ厚い雲が覆い尽くしてくるという始末。低く唸る雷も聞こえてきたりして、もう気が気でない。たまにぽつぽつと落ちてきたりすると、あわてて席を立つ人もいたりして、数分でおさまるとまた席に戻ってきたりと、あわただしい。情けないが、完全に雨雲に弄ばれている感じ。気の早い人は傘を差したりするのだが、傘をひろげると後ろの席の人が見えなくなる、というわけで注意され、仕方なく傘を閉じる。最後の『千鳥』では、そんな気が気でない時間が十数分続いた挙句、フィニッシュとともに雨脚も強くなって、観客一同、傘を差して一気に退散、という具合だった。ひょっとしたら最後の方、演じる千之丞さんは雨の具合を見て、少し短くしたのかも……という思いも抱いてしまうくらいに、舞台の終わりとともに雨が一気に激しくなった。結局、ザーザー降りはそのまま夜半まで続いた。いつも楽しめる茂山狂言だけど、今回は、千作さんが休演になってしまったことと、雨雲に翻弄されていまいち舞台に集中できなかったのがちょっと残念だったかな。

200809041858000


パンフレットの表紙の一部です。

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