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2007年6月19日 (火)

感劇話その44 古都の夜空に響く素浄瑠璃

 梅雨入りしているはずなのになんでこうも暑いのか。しかも湿度が高い(これは梅雨入りしているからか?)。湿気に弱い私には不快な暑さが続く。なるべくエアコンは使わないようにしたいのだが(まだ6月だし)、夕飯の準備をしていたらあまりに暑いのでついに除湿を入れてしまった。こんな夜はせめて気分だけでも心地よくなりたいので、ちょっと前に聞きに行った素浄瑠璃の感劇話を(って、要はこれも書きそびれていたんですけど)。
 文楽三味線の鶴澤寛治さん(人間国宝です)の会に入っていることは前にも書いたが、毎年行なわれている公演が、今年は奈良の興福寺で行なわれた。週末でもあったし、十代の頃から久しく行っていない奈良にも行きたかったので、行ってきた。
 開演は17時だったが、自由席なので早めに行くことにして1時間くらい前に興福寺に入った。

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境内に入るとすぐに鹿のお出迎え。角にも産毛が生えていることを発見。同行者の編集者Sは鹿せんべいを買ったおかげで鹿軍団の一斉襲撃を受けた。





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五重塔。会場はここからさらに奥へ進んだ本坊でした。早く行ったおかげで一番前に座ることができた。



 本坊のお座敷で、素浄瑠璃が始まった。三味線は寛治さんとお孫さんの寛太郎さん、太夫は竹本津駒大夫、といういつものメンバーだ。普段の劇場なら太夫や三味線は客席より一段高い場所(床と呼ばれる専用の場所とか、ステージの上とか)で演奏するのだが、今回はお座敷なので、高さはお客さんと同じ畳の上、しかも目の前(1mくらいしか離れていない)で太夫の語りや三味線の演奏が繰り広げられるという、予想していなかった最高のシチュエーションだった〜。半分開けた窓の外からほわほわと弱い風が吹いてきて、徐々に夜の帳が落ちてくるなか、べんべんと鳴り響く太棹三味線の音色や太夫の声の迫力はもちろん、寛治さんの撥さばきや太夫の足が痙攣している様子まで間近に見えて(たぶんお腹から力一杯声を出すので、足が痙攣することもままあるのだと思う)、ライブの醍醐味満載というか、感動が身体に響き渡って最後は鳥肌立ちました。
 演目は「近頃河原の達引(ちかごろかわらのたてひき)」。思いがけず人を斬ってしまった伝兵衛と、恋仲の遊女お俊。この二人を逃がす手引きをお俊の母と兄(猿回し)が手助けしてあげるという話だが、初めての演目だったし、素浄瑠璃なので開演前に床本をちゃんと読んで予習。最初はちょっと自分で話が飲み込めてなかったところがあったが、徐々に太夫の巧みな語り分けで本当に目の前に映像が浮かぶようになって、目が見えない母が最後に二人を見送るシーンでは思わず涙が。ほんと、いいもの聞かしてもらったわ〜、という感じで、Sと二人で大感激。公演後は寛治さんたちや興福寺の貫主さんを囲んで、お客さん全員でお弁当を食べて解散。思えばこの日の奈良も蒸し暑かったし、休憩時間に縁側に座ってたら蚊に刺されたりもしたんだけど、そんなことは全然おかまいなしの、とてもいい夜でした。

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チラシや床本など。

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