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2007年6月17日 (日)

感劇話その43 たっぷり堪能、「三人吉三」

 渋谷・コクーン歌舞伎の「三人吉三」を観てきた。河竹黙阿弥作。3人の吉三を中心にした複雑な人間関係が織りなす金と欲、因果のしがらみ、不条理、そして義理人情の世界を描いた、まさに歌舞伎らしさ満載といった感じのストーリー。シアターコクーンならではの串田和美さんの演出と、勘三郎、福助、橋之助、そして笹野高史といった、コクーン組ともいっていい豪華な役者陣を楽しみに出かけた。
 まず最初に本物の犬(わんこ)が舞台をタッタッタと横切るのにびっくり。脇目もふらずちゃんとまっすぐ走っているわんこ、お利口さんすぎでかわいい。観て行くうちに、最初に犬を殺してしまったり(この犬はもちろん作り物)、畜生道の話が出たりと、犬がキーワードの一つなのかなということがわかる。それにしてもこのわんこ、後半にも1回、タッタッタと出てきたのだけど、ほんとに名演技だった。
 圧巻はやはり最後の3人の立ち回りシーンだろう。奥行きのあるコクーンの舞台を生かして白一色の世界を作り上げ(柵も白、捕り手役も全員が白い装束)、その中で激しく立ち回る和尚吉三(勘三郎)とお坊吉三(橋之助)とお嬢吉三(福助)。勘三郎の見得はするどくて背筋がぞくぞくしてくるほど。切れのいい橋之助と、いつもは美しい福助さんがすごく激しい立ち回りを見せるのも迫力たっぷり。最後に大量に降り積もる雪のシーン、流れる椎名りんごの曲(これも意外にあっていた)。当然、平場のお客さんも雪をいっぱい被る。「夏祭浪花鑑」のとき、私も平場で泥を被ったわぁ……。
 笹野高史も観る度にいい感じだ。殺されるシーンではやはり「夏祭……」の壮絶な泥まみれの殺しのシーンを彷彿とさせる感じがあった。因果の大もとを作った張本人であり、和尚吉三の父であるこの伝吉の役は、初演の2001年では違う役者さんが演じたらしいが、笹野さんも適役だろう。それから亀蔵さん、この人のコミカルさは抜群である。
 見栄を切ったり、立ち回りをやったり、歌舞伎のお約束もちゃんと見せながら、新しい試みに挑戦し続けている串田さんの演出はほんとうに見応えがあっていつも楽しい。役者の演技も演出も、いろいろとしっかり堪能させてくれる舞台だった。

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入り口のポスター。3枚のうちの1枚。

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