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2007年1月28日 (日)

感劇話その28 志の輔のエネルギーに感服の至り

 渋谷パルコ劇場での志の輔の一ヵ月公演「志の輔らくごinPARCO 」は昨日か今日でようやっと千秋楽となったはずだ。「メルシーひな祭り」「歓喜の歌」「狂言長屋」というこれまでのパルコ公演ならではの人気作品3席を軸に、それぞれにほかの2席を加えた3席で1回を構成するという3種類のプログラムで行われていたんだけど……って、意味わかります? もうちょっと詳しくいうと、1回の公演で3席の落語をやり、その3席目が前述の「ひな祭り」か「歓喜」か「長屋」のどれかによってあらかじめ其の一、其のニ、其の三、というバージョンに分けられているんですね。で、残りの2つの演目はどうやら当日までに志の輔が選んでいたようで。つまり、一ヵ月間まったく同じ演目をやるのではなくて、大きく3タイプに分かれていた、という感じの公演だったのです。
 で、私は観劇仲間のかよちゃんと其のニと其の三を聞きに行ってきました(かよちゃんは其の一も行ってますが)。其のニは今月第二週に、そして数日前に其の三。というわけで、前置きが長くなったけど、今日は其の三のお話です。
 1席目は其のニと同じ「七福神の新年会」で、どうやらこの1席目は今月ずっと同じだったようだ。新年だからね。2席目は「しじみ売り」。これは講談を聞いているような感じもして、しみじみとよかった(けしてシャレているわけではありません)。しじみ売りをしながら病気の母と姉を支えている子供にねずみ小僧(次郎吉)が事情を聞くと、家族が病気になったのは、次郎吉が昔、恵んだ金が原因だったことがわかり、申し訳なく思った次郎吉が自首を決意するという人情噺。お腹を抱えて笑い転げる落語もいいけど、じっくり聞かせるこんな噺もいいものだ。
 そして3席目が「狂言長屋」。おもしろい話が書けなくて自殺しようとする狂言師を助けた長屋の面々が、自分たちがおもしろい話を考えてやるといってあーだこーだと言い出し、話ができたと思ったところで舞台が暗転、座布団がすーっと消えて高座が能舞台になり、現れたのは茂山千三郎さん、本物の狂言師。やがて志の輔も着替えて太郎冠者のような格好で現れて千三郎さんと二人で狂言が始まる。つまり、落語の中で狂言師が作った話を実際の狂言でやってしまうという、落語と狂言のコラボレーションになるのだ。
 茂山狂言もよく観にいっている自分としては、千三郎さんがいきなり現れたのにも歓喜だったけど、それにしても志の輔、すごい。ちゃんと狂言をやっている。そりゃあ本物の千三郎さんと比べるとそれは違うけれど、落語と狂言は喋りの速度とか間合いとか、もちろん発声も全然違うのに、ちゃんと自分のものにしている。ずっと立って喋るのも落語とは勝手が違うだろうに。すごいことだと思った。志の輔は文楽にも興味を持っていて文楽とのコラボもやっていて、一昨年私も下北沢本多劇場に観に行ったんだけど、あのときも、ちゃんとやっててすごいなあと思った。同じ伝統芸能でも全然違ってるんだなあとか、ある部分はつながってるんだなあ、みたいなことがわかって、それがまたおもしろい。そういう、志の輔の探究心というか、興味を持って挑む心というか、日本の伝統芸能をリスペクトして愛する心というか、そういうエネルギーやら、実際に忙しいなかでほんとに挑んじゃうエネルギーというか、そういうものに打たれた夜でした。また3時間近い公演だったけど、見応え聞き応え十分で、充実感あり。

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公演のご案内チラシより。以前の「狂言長屋」の1コマ。

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