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2006年10月29日 (日)

豪快な女たち

 早朝から富士山のそばに取材に行く予定だったのが、天候不安で撮影が危ういので延期となり、おかげで原稿書く時間ができた。対談原稿をとりあえず仕上げて18時過ぎに編集者にメールした。
 さて、今日は豪快な女たちの話。私の仲のいい女性編集者にはたまたまなのか、私が選んでいるとは思えないのだけれど、豪快な女の人が多いのだ。たとえば先週沖縄に一緒に行ったMMさんの場合。羽田空港出発ロビーに9時50分頃待ち合わせだったのだが、彼女は前日パッキングもせずに寝て、目覚ましにも気づかず起きたのは8時だったらしい。あわててバッグに着替えと、なぜかipodのスピーカーまで詰め込んで(重かったろうに)、「ノーメイクで髪ぼさぼさです」というメールをもらったのは9時半頃、浜松町からだった。でも時間には遅れなかったし、羽田に立っていた彼女はたしかに髪ぼさぼさだったけど、ご本人が気にするほどでもないと私は思ったけど。
 それからチェックインをすませ、朝ご飯を食べていないので何か食べたいというMMさん。あんまり時間がないから空弁買って機内で食べたらと私がいうと、彼女は「あったかい汁物が食べたい」といって、出発10分前にも関わらずゲートに行く途中の蕎麦屋に入った。朝軽く食べた私は先にゲート前に行って待っていることに。そして出発約3分前。「熱くて半分くらいしか食べられませんでした。それに意外とゲートまで距離があったんですよね……」と、汗だくで現れたMMさん。「最後一人の乗客になって駆け込んだことも何度もあるんですよねー」と、ぜんぜん焦りの色もなく乗り込んだ。焦ったのは私だよ。まあ、間に合わないとは思わなかったけどね。小心者の私にはたぶんできない行動だと思う。
 軽井沢取材に一緒に行ったSは長年の友達でもあるけど、これがまたいつも話題に事欠かない。同じ部屋で、一人1個ずつ部屋のカギをもらっていたのだが、翌朝パッキングする段になってSがカギがないと言い出し、大騒ぎになった。二人で部屋の中を探しまわるんだけど、ぜんぜんみつからない(それで朝食食べる時間がなくなった)。昨夜からの行動をよく思い出せと私がいうと、「食事の後に瞑想バスなるお風呂に行ったとき、きっとそこの脱衣所に置き忘れたんだ、それしか考えられない」という。Sがお風呂に行っている間私は部屋にいて、ソファでうたた寝していて、Sが戻ってきたときはカギが開いていてそのまま入っていたのでカギを使わなかったから、カギがないことにも気がつかないままだったという。ほんとに脱衣所かと確認すると、夕飯に空きっ腹でお酒飲んでかなりお酒が利いていたから(それは私も)、きっとカギを置き忘れたに違いないという。という理由を説明しながら私のカギ一つでチェックアウトすると、それまで笑顔で取材の対応をしてくれていたスタッフにはどん引きされた。当然である。お風呂からみつからなかったらカギを作り替えることになるだろうから、けっこうな修理費を請求されることになりかねないけど、「とにかく脱衣所に〜」と押し通して宿を出たS。あれから2日が経ち、さっきメールが来て、なんとスーツケースの中からカギが出てきたという。「あのあとホテルから電話がきて、“お風呂にないのでもう一度探してください”というのを、“いいえ、ぜったい脱衣所に忘れたんです!” と言い張ったのに出てきたよ〜」と書いてあった……かなり迷惑な話である。でもこのテの武勇伝、ほんとに多いんだよね、この人。
 というわけで、豪快な女性編集者との旅が続いた10月なのでした。なぜだかそういう人たちとつきあいの多い私。彼女たちのおかげでいつもハラハラドキドキ、スリリングで楽しい時間を過ごしているのである。


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軽井沢の翌日に行った那須塩原の二期倶楽部、コンラン&パートナーズがデザインした東館の風景。

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2006年10月28日 (土)

日本は長い

 26日〜27日と1泊2日で軽井沢〜那須塩原でリゾートを取材してきた。軽井沢の「星のや」、那須塩原の「二期倶楽部」ともに、自然との融合を目指したゆったりリゾート。木々や川のせせらぎに囲まれて、時間を忘れてのんびりできる。気がつけば、紅葉が始まっていた。特に軽井沢の星のやは見事に色づいた紅葉に目を奪われた。なにしろ、朝の気温は8度だもん。1週間前は気温29度の沖縄で青い海と赤やピンクのハイビスカスやブーゲンビレアを見ていた目が、いまは深紅の紅葉を見ている。つくづく、日本は長いんだなあと感じる瞬間でありました。夜の満天の星は沖縄でも軽井沢でもしっかり見えたけどね。
 しかし、撮影スケジュールがハードだったので、初日も2日目もほとんど昼飯抜きでなかなかタイトだった。昨日は朝食を食べずに(いろいろあって……これは明日にでも書くかも)、朝8時から露天風呂の撮影。前日からテレビもぜんぜん見ていないので、コーヒーラウンジの朝刊で日ハムの優勝を知る。9時すぎに星のやを出発、軽井沢駅で峠の釜飯を買い、車内で食べて二期倶楽部に着いたのが12時過ぎ。それから5時近くまで撮影、那須塩原からやまびこに乗り込み、東京駅に着いたときにはもう腹ペコ状態。朝ご飯を3膳食べたというカメラマンとアシスタントさんはさすがに直後で峠の釜飯を食べられずにとっておいたようで、帰りにやまびこの車内で食べていた。私は腹へりんこで解散した後、思わず渋谷の“G”に寄っておでんの大根とこんにゃくとエビスビールを注文。というフライデーナイトでありました。しっかし、峠の釜飯、すっごい久しぶり。学生のとき以来だったかも。軽井沢自体が久しぶりだったもんね。できたてでおいしかった。この週末はまた原稿書き……さすがに疲れがとれないっす。

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(左)写真がぜんぜんダメで申し訳ないけど、ほんとにきれいな紅葉。落ち葉はまるでこんぺいとう。

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2006年10月25日 (水)

癒しの島—3

 今日は原稿書き。先日お会いした銀座の文壇バーのママのインタビュー原稿を仕上げた。全文、ママの一人称でまとめながら、さすがにお仕事柄、言葉使いは丁寧で上品だよなあ、などと思ってキーボードをぱちぱちしているうちに、ママのあのぱちぱちした大きな瞳がまぶたの奥で何度もフラッシュバックしてきて、なんか楽しい気分になりながら書き終えた。
 さて、今日も沖縄の話。食べたものについて。沖縄に入っていちばん最初に食べたものは、コンビニ弁当だった。空港からリゾートへ向かう車の中で。ちょうど昼時だったし、車に乗ると移動に2時間くらいはかかるらしいので着いてから食べるんではお腹が持たないと思ったのだ。にしても、なんで沖縄でコンビニ弁当なんて……と、やや情けない気もしたのだが、これがけっこう予想ガイの内容で、意外に気に入ってしまったのだ。私が買ったのは「開き秋刀魚の塩焼き弁当」。弁当箱に本土のコンビニ弁当みたいな“しきり”はなく、ご飯の上に直接秋刀魚の開きがどーんと、そしてその脇にホウレン草のおひたし、唐揚げ、大根と昆布の煮物(おでんかも)、もやし炒めなどなどがのっかって並んでいる。おひたしもたっぷりめだし、家で作るお弁当みたいな素朴な感じで、なかなか満足だった。
 沖縄ラストナイトは那覇。八重山料理の「譚亭」へ。首里城の近くにある店で、以前はランチで行ったことがあったのだが、夕飯を食べなきゃ! と友達のゲンさんに言われて、行ってきた。ライトアップされた首里城が見える畳の部屋で、八重山会席をいただく。豆腐窯やジーマミ豆腐(ピーナッツ豆腐)、苦菜の白和え、長命草、花カンゾウの酢漬け、どぅるわかしー、ミヌダル……大好きな沖縄のスローフードがいっぱい出てきて、ああシアワセ。身体の中からきれいになりそう。精進料理風の煮物に出てきたアダンの芯は初めてだったが、ヤシの芽みたいな感じの食感で、これもおいしかった。やさしい味に大満足でありました。編集者のMMさんは、お料理のみならず、マスターの渋〜い低音ヴォイスにもしびれていた。
 すっかりお腹いっぱいになっていたのに、その後、とあるバーに行き、近くにある名物餃子屋さんの餃子(これもディープな沖縄通のゲンさんチョイス)を出前してもらい(お店の人が知り合いだからできたコトなのだが)、オリオンの生と、泡盛で食べてしまった……。ものすごいニンニクで、夜中にお腹がたいへんなことになり……まさに食い倒れ状態でございました。

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(左)秋刀魚の開き弁当。車内で撮ったので光がすごい。(右)「譚亭」の八重山会席。

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2006年10月24日 (火)

癒しの島—2

 日頃7時前後に起きてとりあえず夫を送り出すクセがついているので、オキナワのリゾートに泊まっていても、朝は連日7時前に目が覚めてしまった。せっかくの海辺のホテルなので、隣りのベッドで爆睡している編集者を起こさないようにそおっとTシャツに着替えて、一人ビーチを散歩する。まだ日差しがやわらかい朝のビーチはほんわりと静か。波打ち際で貝殻を拾う母娘がひと組と、ジョギングをする外国人の姿が見えるほかは誰もいない。ゆったりした弧を描く砂浜を端から端までのんびり往復すると約20分。ただ歩いているだけなのに復路では汗もけっこう出てきて、なかなかいいウォーミングアップだった。
 2日目の朝もおんなじように散歩したが、前日と同じ外国人男性がやっぱり走っていた。ビーチサンダルを脱いでひたひたと波打ち際を歩いていると足元でなにやら貝殻がうごめいているように見えて、びっくり。よく見ると、ヤドカリだった。このヤドカリたち、なかなかに敏感で、カメラを近づけるとちゃんと気配を感じ取るのか、いっせいに家の扉をパタンとふさいでじっと動かなくなる。あきらめて携帯をしまおうとすると、また手足を出して動き始める。しばらくこの繰り返し。悔しいのでけっこう粘ってなんとか1カット撮ってやった……。
 ……こんなこと書いている今日、関東は低気圧の影響で横殴りの雨と、まるで木枯らしのようなつべたい風がぴゅーぴゅー吹きまくって大荒れの天気だった。当然、外に出ていてまた雨風に翻弄された。昼の気温15度でこの秋一番の冷え込みだったみたいだ。朝9時に渋谷で打ち合わせがあって、薄いコートで出かけて行ったら驚くほど寒かったので、昼に一度家に帰ってゴム引きのコートに着替えて再び外出。朝のままだったらぜったいに風邪ひいていたと思う。同じ日本なのになあ……。私と入れ違いで、友人夫婦がいま沖縄に行っている。彼らは今頃、あの青い空の下……。

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(左)この方たちほとんどヤドカリさん。(右)目と足が出てるの、わかります?

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2006年10月23日 (月)

癒しの島—1

 木曜日から日曜日まで、沖縄に行ってきました。プレ取材というかリサーチ取材のためだったんだけど、気がついたら今年は春に行けなかったので1年ぶりの沖縄だった。編集者がとってくれたホテルは海辺のリゾートホテル。ここ数年、仕事でもプライベートでも沖縄での宿はビジネスホテルとかで、いわゆるリゾートホテルというのはじつに10年以上ぶりだったのだが、沖縄にもバリのアマン系のような、自然の景観を生かしたいい雰囲気のリゾートホテルができていることを(遅ればせながら)しみじみ痛感した。
 東京から指令の出ていたデザインレイアウトをウェブページで見たりするのも、ホテルのビジネスセンターに置いてあるパソコンで、らくらくできた。さすがに高くていいホテルだけあって、サービスもとてもよく、イ ンターネットは申し出れば何時でも使いたい放題。毎晩夜の12時頃と、早朝に仕事メールなどをチェックした(今度、農家さんを取材するのでご本人と日程調整などメールでやりとりしているんだけど、当然早起きさんなので早朝メールが来ていることも多く、それを見たりしておきたくて)。
 そんな具合に、日中はなるべくパソコンから離れ、画面を見るのは朝と夜だけにして過ごした毎日。それ以外に数件、たびたび仕事の電話で追いかけられて(出なきゃいいんだけど、急ぎの連絡もあったりしたみたいなので、つい……このへんがダメな性格)、うんざりしてしまうこともあったけれど、それでも、海に落ちる夕日を見たり、早朝にビーチを散歩したり。そんなことができるのが東京との違い。自然が癒してくれるって感じだった。それともちろん、気のいい沖縄の人たちとの会話、これにもかなり癒されたしね。光あふれる島。やっぱり私はオキナワ大好きだなあと再確認した。てことで、今日から数日は、今回のオキナワの旅のことを書きます。


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ホテル前のビーチと、その海に落ちる夕日。これは1日目で、翌日の夕日がもうちょー素晴らしかったんだけど、なんというか、あんまり感動的でカメラ出すのも忘れてしまった。

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2006年10月18日 (水)

呪われた日々

 昨日から今日にかけてのこと。明日から出張で、パソコンは持って行かないと決めていていたのだが、件のお姉さん軍団から「金曜日に色校が出る。WEBページにアクセスして見られるようにするからぜったいに見てくれ」といわれ、泊まる予定のホテルにネットサービスあるか確認したら、あった……。夕飯作ってたら上からザルが落ちてきてボールを直撃し、中に入れてた刻んだばかりの大根の葉っぱが床に散乱。そのあと戸棚を開けたらタッパーも落ちてきて今度は頭を直撃されそうになった。
 夕飯後、出張用にとキャリーケースを出していじってたら突然ロックがかかってしまって開かなくなり、店に持っていこうと思って今朝電話したら「まずは自分で一つ一つ番号を入れてみて確かめていただけますか」といわれ・・・3ケタだよ。000、001、002……どこまでやったら開くのよ、そんな時間ないよと嘆きながら午前中に家を出て取材先の江戸川橋へ。道を微妙に間違えて急な坂道に汗だくになり、汗をふきふき取材開始。江戸川橋のあと、打ち合わせに向かったオフィスはまたしても坂の上、思った以上に気温が上がってきたので、また汗だくで目当てのビルに着いたら、なんとエレベーターは定期点検中……さらに5階まで階段を上がるはめになり、着いたときにはすでに消耗していた。笑っちゃうほど冴えないこと続きだった約1日半なり。

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2006年10月17日 (火)

週明けから飛ばしてます……。

 午前中に喘息の薬をもらいにクリニックに寄り、件のお姉さんがたの館へついたのは12時半。ささっとランチを食べて編集作業を開始、なんだかんだで23時半まで仕事。終電2本くらい前の電車で帰宅。それから原稿書きして布団に入ったのは3時半。頭が緊張しているせいか、4時近くまで眠れなかった。今日は7時半起床で午前中からまた原稿の続き。夜なべのおかげで本日はやや電池切れ気味でした。月曜からこの調子で、週末までもつかしらん……。
 それに昨日はお姉さんがたの館で、久々に手書きで原稿書いてしまった。いろいろあって、急に原稿が必要になり(かなりの想定外)、しかしオフィスにあるパソコンは他の人たちがみんなテンパって使っているのでとても借りられない。家に戻ってパソコン作業してメールで送るのでは間に合わない、というようないろんな条件が重なり合って、ついにシャープペンシルを手に原稿書き……何年ぶりだろう。15、6年ぶりかなあ、って感じで。
 20〜30分くらいで2500字くらい書いたんだけど、シャーペン握って、消しゴムで消して、右手の中指の第一関節のあたりにタコができそうになるあの感触を、ひっさびさに味わったのでありました。それにしても、昔は全部こうやって何枚も何枚も、それこそ夜中から朝まで書いたりしていたというのに……2500 字くらいでも、“え〜っ! て、手書きするのか〜!?”と思ったときの、あのびびる感じはなんなんだろう。それだけもうパソコンなしで原稿書きなんてとても考えられない状況になってしまったんだなあ……としみじみしてしまったのであった。ほんとに人間て、どんどんラクなほうに流れていくものなんだな……。

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2006年10月15日 (日)

元気なお姉さんがた

 この土日はほとんど家にこもって原稿書き。今日の夕方、なまった身体をほぐしがてらウォーキングに出て(1週間前から約2年ぶりに復活したのだ)帰りにスーパーに寄ったのだが、風がいつの間にかピューピュー冷たくて、冬を思わせるような感じになってきたことに気づいた。たしかに、もう10月も中旬だもんねえ……。
 ここ数日は、ある業界向けの資料を作るようなお仕事で(原稿書きもそのためのもの)、久々にお会いした元気なお姉さんたちと仕事している(考えてみたらこれも2年ぶりだよ、びっくり)。私からみたお姉さん世代ということだから、ご想像していただきたいんですけど、このお姉さんがたが、久々に会ったのに相変わらずすごぶるお元気なのでびっくりしている今日この頃なのだ。
 メンバーは私を含めて5人(この私が最年少)。内2人がミラノとパリの出張から帰国した翌日に打ち合わせをした。この打ち合わせがいつも長くて、今回も午後2時から8時までほとんどぶっ続けだ。2人のお姉さんは時差ぼけもなく、疲れも見えない。まあ海外出張はしょっちゅうある人たちなので、もう時差ぼけはないみたいなんだけど。で、夜の8時過ぎにほか弁の生姜焼き弁当をとってカップラーメンと一緒に食べてしまうのである……肉好きなご様子も2年前とぜんぜん変わってないようで……正直、驚いた。私には胸焼けしそうで、そんな芸当はとても無理だ。よく同世代の仕事仲間と話すことなんだけど、うちらよりひと世代、ふた世代上の女の人たちって、全体的にうちらより元気な気がするんだよねえ。
 でもそういえば、前に文楽の人間国宝の竹本住大夫さんを取材したとき、住大夫さんは80歳を過ぎているにもかかわらず、好きな食べ物はステーキ、天ぷら、うなぎだとおっしゃっていた。私が知る限りでは、70、80を過ぎても現役で活躍している方々には肉好きが多いような気がしている……だからあのお姉さんがたも、きっとこれからまだ20年も30年も元気にお仕事を続けていらっしゃるのだろうなと思う今日この頃なのだ。

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2006年10月13日 (金)

感劇話その24 洒脱の人、万之介さんにバンザイ

 国立能楽堂で万之介狂言の会を観てきた。万之介さんは野村万作さんの弟で萬斎さんの叔父さんにあたる人で、万作さんや萬斎さんほどの知名度はないかもしれないが、万作一門を支える重要な狂言師だ。去年もこの万之介さんが主催する会を観て、数ヶ月ぶりだったが、相変わらず万作一門の狂言は言葉もわかりやすくて楽しい。
 今回は、「筑紫奥(つくしのおく)」、「咲嘩(さっか)」、「蝸牛(かぎゅう)」の3本立て。どれも楽しく笑える演目だったが、特に「咲嘩」では万之介さんの太郎冠者がとぼけた味をすごくよく出していて、大いに笑った。万之介さんがただ座っているだけのときの表情も、飄々として味わい深くて、つい吹き出してしまいそうになった。脱力してけらけらと笑えて、そのあとでしみじみとほんわりあったかい気持ちにさせてくれるような、言い方は不謹慎かもしれないが、老人力全開のような万之介さんの魅力にやられた、って感じでした。去年は演目が違ったせいか、万之介さんがそれほどのキャラだとはまだ知らないまま観終わっていたように思う。
 「蝸牛」はかたつむりのことで、山伏をかたつむりと思い込んだ太郎冠者を、山伏がからかって楽しむお話。萬斎さん扮する山伏がかたつむりになりきって、装束についている丸い房を、かたつむりの角に見立ててひょいっと出すところがかわいくてユニークでありました。「でんでんむしむし……」とお囃子のようになってクライマックスを迎えるのも楽しい。「筑紫奥」で奏者を演じた万作さんは、相変わらずの存在感。石田幸雄、深田博治といった万作一門おなじみの狂言師さんも好調なご様子で、一門のアットホームないい“気”に接し、笑って幸せになれた夜、だった。


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左から、萬斎、万之介、万作のお三方。万作一門、楽しいです。写真は去年の万之介狂言の会の「貰聟(もらいむこ)」の一場面。

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2006年10月11日 (水)

感劇話その23 書く女たちと『書く女』を観た。

 また数日停滞してしまいました。すみません。数日、朝も早よから夜も遅うまで出かける日が続いていて、なかなかブログにゆっくり向き合うことができないのでございます。今月はそんな感じが続くので、また停滞することもあるやもしれず、先にお伝えしておきます。なーんて。
 さて、ちょっと久しぶりの感劇話になりました。先月も文楽公演には行っているんだけど、なんだかんだで書きそびれたからなあ。まあ、それはそのうちに書きますだ。
 というわけで、連休中に、永井愛 作・演出の『書く女』を観てきました。場所は世田谷パブリックシアター。天井が高くてなかなか心地いい劇場です。編集者S、ライターのMYちゃん、そして私、という劇団青い鳥の芝居を観たのと同じメンバーだ。そもそも誘ってくれたのはライター友達のMYちゃんだった。チラシのビジュアルは、書く女の仕事部屋。主演の寺島しのぶが、書けないのかなんなのかで、悩んでいるようなシーンが一面に出ていた。「もうこのリアルさがたまらない」とMYちゃんにいわれてそのチラシの写真を見た私も、一目で恋に落ちた、じゃなくてハマった。パソコンの周りに積み上げられた資料やノート、本、手帳。本棚の本の前に並ぶ絵はがきや香水瓶、薬瓶……かゆみをとめるウレパールプラスローションらしきものも写っていて、思わず、“わあ、いっしょ!”と心の中で叫んでしまうほどに、もうその雑然とした感じというか、片付けられない感じというか、書く女の仕事場としてすんごくリアルな情景なのだ(もちろん、私の机周りはもっともっとひどいんだけどさ……)。それで、「行く!」と即答したのだった。
 チラシのリアルさゆえか、樋口一葉のことを描いている内容だということは知りつつも、一葉のことはときどき効果的に出てくるだけで、あくまでも現代劇だと思い込んでいたのだが(誘ってくれたMYちゃんもそう思っていたようだ)、実際ふたを開けてみると、もろに樋口一葉のお話だった。それにちょっと肩すかしをくらった気分にはなったのだが、まあそれは自分の思い込みすぎのせいだったわけで、一葉の生きた時代の話なんだと認識して観れば、それはそれで楽しめるお芝居でありました。ただ、永井愛の現代劇をたくさん観ているMYちゃんにいわせると、次はぜひぜひ現代劇を観てほしい、と力説していたけれど。
 観劇後は同じ三茶にあるイタリアン「グッチーナ」でご飯。ライター、編集者という、書く仕事に携わる3人で、あれやこれやと放談した。共通意見の一つは、一葉の生きた明治時代も現代も、書く女をとりまく状況は大して変わらない、ということだ。淋しいことに。この事実って、けっこうトホホだと思うんだけどね……。しかし、皮肉なことにこの芝居においては、描かれ方も演技そのものも、女性たちの方が男性陣よりもはるかに力強く、存在感があったと思う。編集者Sとはもう18年近いつきあいだし、ライターのMYちゃんは90年代にともに「クレア」で書いていた仲。仕事の内容もスタンスも近いせいか、この3人で飲むと、仕事やプライベートの悩みでもグチでも、いろんな話を言いたい放題、トークが炸裂して妙に楽しい。

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話題のチラシ。観劇後にわかったんだけど、じつは撮影現場は永井さんのご自宅だったそうで......リアルなはずだよ。

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2006年10月 6日 (金)

雨ニモ打タレ、風ニモ打タレ

 嵐の金曜日。暴風雨の只中、横浜にいた。駅から目的地までは普通なら徒歩5分なのだが、すさまじい風と、槍のような雨が行く手を阻む。海も近いからよけいなのかもしれない。目の前を行く透明ビニール傘が次々と折れる中、ドラッグストアでたしか500円くらいだった私のワンタッチ傘の骨は予想外に強かった。それでもかなりぐぐぐっと曲がり始めたり、あおられて飛ばされそうになったので、思わず傘を閉じ、胸に抱えてビルの谷間を走った。ほんの数秒なのに横殴りの飛沫のような雨に打たれて、目的のビルに着いたときは完全に濡れネズミ状態だった。王子じゃないけど、ハンドタオル持っててよかったよ……。
 用が終わってもまだ嵐は治まっていない。仕方なく駅までの道を、決死の覚悟で(けして大げさな表現ではありません)また傘を抱えて走った。途中で何度かビルの下に入って休み休み行ったのだが、またもや突風に飛ばされそうになって、まじで怖かった。なんとか地下鉄に潜り込み、また濡れネズミになって、夕方の会議のため東銀座へ電車は上る(このときばかりは途中で帰りたかったけど……)。8時前に会議は終わり、仲間と数人で韓国料理を食べに。雨と風に打たれてかなり消耗したせいか、今夜の眞露はいつもより効きました……。

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2006年10月 5日 (木)

マクロビランチ

 インタビュー原稿を昨夜ほぼ書き終えて、今日は11時から東京タワーのすぐそばにある出版社で打ち合わせ。その後、六本木で別の打ち合わせがあり、気がつけば14時。次の用事も日比谷線沿線だったので、遅めのランチを沿線の広尾でとることにして、近頃人気のマクロビオティック・レストランへ行った。早春に来て以来、約半年ぶりだったけど、あいかわらず店内は外国人の親子連れが多くて、のんびりムード。レストランというよりカフェといったほうがいいのか、とにかくかなりゆるゆるなその雰囲気が、私は気に入っている。
 グリーンサラダと有機野菜のカレーを注文。レタス、マスタードリーフ、水菜ほか数種類の葉っぱがてんこ盛りのグリーンサラダは、まさに緑の山で、ごまのドレッシングがかかっている。カレーの具はニンジン、レンコン、トマト、ソイミートなど、ご飯は玄米。サラダとカレーのお皿が二つ並ぶとかなりの量に最初は写ったが、意外とすんなり食べられた。なんたってサラダは葉っぱばっかりだしね。ニワトリのようにひたすらばくばく。
 しかし、久々にソイミートを食べたけど、あれはほんとによくできている。大豆のタンパク質から作った肉のようなもの、なわけだけど、食感といい、繊維の感じといい、マクロビのお店だということを忘れて食べていたら、何も疑わずに鳥のもも肉そのものだと思って飲み込んでしまうほどだもの。玄米は腹持ちがいいからか、さすがにご飯は少し残してしまった。食後にはオーガニックコーヒーでほっ。こんな食事を毎日続けていたら、そしてお酒も飲まなかったら、きっと身体にも環境にもやさしくていいんだろうなあと改めて思う。マドンナとはけっしていわないまでも、もすこし身体の脂肪も落ちるんだろうし……。
 たまたま今、家でも玄米ご飯を炊いているが、特に徹底してマクロビを実践しているわけでもない。というか、家庭で完全なマクロビオティックを実践するなんて、手間も時間も、お金もかかるし、そんなに簡単にはいかないもんね。やっぱりプライベートシェフを何人も抱えているマドンナみたいなセレブじゃないと。実際、アメリカでマクロビを実践している人というのは(もちろん、専属のシェフを雇って、だ)、トム・クルーズとかシャロン・ストーンとか、セレブな人たちばかり。でも、家でやる“マクロビ風”の食事でも、続けると身体の調子がいいのは事実。だから、自分のできる範囲で、小さなことからこつこつと、実践していくのが精神的にも負担にならなくていいんじゃないかなと思っている。


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有機野菜のカレーとグリーンサラダ。実際、最近のマクロビのレストランって、とてもおいしいのも事実。

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2006年10月 1日 (日)

ぽっかりの日曜日

 文壇バーのママのインタビュー原稿を土日で書く予定で緊張感が高まっていたところに、編集者から掲載が1号延びたという連絡がきた。特集ページの内容の一部が急きょ変更になったためとかで、連絡をくれた編集者はかなり恐縮しながらも、事態の調整と収拾にパニクっていた。たいへんそう。
 だけど私の締め切りは数週間延びたというわけで、張りつめていたものがほろほろとほぐれて、なんか気が抜けてしまった。でもおかげで、思いがけずぽっかり日曜日のご褒美をいただいてしまったというわけで。さて、なにしよう。やることはいっぱいある。家の掃除でも、倉庫のような仕事スペースの大片付けでも、4日後に締め切りを控えている別の原稿の準備でも。
 でも結局、最低限の家事(炊事)をやっただけで、1日ごろごろして本を読んだりして過ごしてしまった。忙しいときは、ああ、あれもしたい、これもやんなくちゃと思って抱えていることがいっぱいあるような気がしているのに、いざ急に時間ができると、何をするわけでもない。つくづく、計画性というものに無縁な怠け者体質だ(木村郁美さんとは対極だなあ……)。霧のような雨がずっと降ってて気だるい日曜日だったせいもあるよ、たぶん……なんていってみるのもいいわけがましい。ま、でも、おかげで本1冊は読めた。でも、その本だって、新しい本じゃない。数年前に読んだ「クライマーズ・ハイ」をまた出してきて読み返してしまったのだ。
 それというのも、土曜日にドラマの「クライマーズ・ハイ」を見てしまったからだ(まだ人のせいにするか)。ドラマは去年放映したものの再放送だった。私は去年、見逃してしまったので、再放送されると知って、すごく楽しみだった。あれだけの超面白い小説をどんなふうにドラマ化するのか、とても興味があったからだ。主人公の悠木を佐藤浩市が演じたことは知っていたので、それも楽しみだったし。そしたら、悠木はもちろん、社会部長の等々力役の岸部一徳しかり、記者の佐山役の大森南朋、追村次長役の塩見三省、読者欄担当の稲岡役の岡本信人……もうキャスティングが絶妙で、それぞれクセのある役にかなりうまくハマっているというか、そのおもしろさに感激してしまった。岡本信人なんて、まだちらとしか出ていないのに、ああ、こういう人いそうだよなあという感じで。原作の登場人物のキャラクターの書き分けが緻密ですばらしいせいなのか、それぞれの特徴をじつにうまく捉えた配役になっていると思った。それでまた原作を読み返してみたくなってしまって、つい。
 もちろん、小説のすべてをドラマが描ききれている訳ではないが、役がついたことで人物像がある意味、よりリアルに浮き上がってくるようで、字面を追うだけのときの面白さとはまたひと味違ったアプローチで、最初に読んだときの感動が蘇ってくるようだった。しかし改めて読み返すと、ほんとによくできている小説だね。編集と、広告とか営業との対立とか、思いのズレとか、そのはがゆさとかがじつにまあよく書けている。私は新聞の世界は知らないけれど、たぶんそのあたりは雑誌作りの世界と似たような葛藤とかがある世界なんだろうなと思う。ドラマはまだ後半が週末にあり、これからさらにクセのある人物が登場してくるので、続きも楽しみ。......とまあそんなふうに、見る人が見たらほとんど無駄じゃん、と思えるような時間をむさぼっていた日曜日だったのでありました。

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