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2006年10月13日 (金)

感劇話その24 洒脱の人、万之介さんにバンザイ

 国立能楽堂で万之介狂言の会を観てきた。万之介さんは野村万作さんの弟で萬斎さんの叔父さんにあたる人で、万作さんや萬斎さんほどの知名度はないかもしれないが、万作一門を支える重要な狂言師だ。去年もこの万之介さんが主催する会を観て、数ヶ月ぶりだったが、相変わらず万作一門の狂言は言葉もわかりやすくて楽しい。
 今回は、「筑紫奥(つくしのおく)」、「咲嘩(さっか)」、「蝸牛(かぎゅう)」の3本立て。どれも楽しく笑える演目だったが、特に「咲嘩」では万之介さんの太郎冠者がとぼけた味をすごくよく出していて、大いに笑った。万之介さんがただ座っているだけのときの表情も、飄々として味わい深くて、つい吹き出してしまいそうになった。脱力してけらけらと笑えて、そのあとでしみじみとほんわりあったかい気持ちにさせてくれるような、言い方は不謹慎かもしれないが、老人力全開のような万之介さんの魅力にやられた、って感じでした。去年は演目が違ったせいか、万之介さんがそれほどのキャラだとはまだ知らないまま観終わっていたように思う。
 「蝸牛」はかたつむりのことで、山伏をかたつむりと思い込んだ太郎冠者を、山伏がからかって楽しむお話。萬斎さん扮する山伏がかたつむりになりきって、装束についている丸い房を、かたつむりの角に見立ててひょいっと出すところがかわいくてユニークでありました。「でんでんむしむし……」とお囃子のようになってクライマックスを迎えるのも楽しい。「筑紫奥」で奏者を演じた万作さんは、相変わらずの存在感。石田幸雄、深田博治といった万作一門おなじみの狂言師さんも好調なご様子で、一門のアットホームないい“気”に接し、笑って幸せになれた夜、だった。


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左から、萬斎、万之介、万作のお三方。万作一門、楽しいです。写真は去年の万之介狂言の会の「貰聟(もらいむこ)」の一場面。

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