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2006年9月24日 (日)

玉男さんが逝ってしまった……。

 バタバタと落ち着かなかった1週間が終わり、週末になってそろそろブログも更新できるかなと思っていたところに、さっき文楽人形遣いの吉田玉男さんが亡くなったというニュースを知って、テレビの前で硬直してしまった。悲しくて、泣けてきた。こんな悲しいことからブログを再開しなければならないのが辛い。
 文楽ファンの人はおそらくみんなショックを受けているだろう。私自身も数年前から文楽ファンの端くれとなり、いつかはこの日を迎えなければならないのだということを、心のどこかで感じていながらも、実際にその事実を突きつけられたらこんなにきついとは思わなかった。
 玉男さんは現在の文楽人形遣いの第一人者であり、人間国宝でもあった。
文楽は3人で一体の人形を遣うという特殊なスタイルだが、その中でも中心は人形の頭(かしら)と右手を遣う“主遣い”。玉男さんはその主遣いとして、物語の主役の男役を演じる立ち役遣いとして、長く活躍してきた。今年で87歳だった。立ち役の人形は女性の人形よりかなり重く、10キロを超えるものもある。世話物の色男はそうでもないが、時代物の武将などは大柄で甲冑を身につけているのでかなりの重量になるのだ。そのため、70歳くらいで立ち役から女形に変わる人がほとんどということだが、玉男さんは80歳を過ぎても立ち役を続けていた。驚異的なことだった。
 4年前に文楽の世界にはまって以来、すぐに玉男さんの表現に魅了された。玉男さんの遣う人形は、極力抑えた動きの中に、力強さやほとばしる情念を感じさせる、品のよい美しい男たちだ。「曾根崎心中」の徳兵衛、「冥途の飛脚」の忠兵衛、「仮名手本忠臣蔵」の大星由良助、「菅原伝授手習鑑」の菅原道真、「平家女護島」の俊寛……あげたらきりがない。
 去年の秋頃から休演が続き、心配していたが、きっともう一度舞台に戻ってきてくれると信じていた。蓑助さんとのお初徳兵衛を、もう一度見たいと思っていたのだが。奇しくも今日まで、東京で文楽公演が行われていた。演目は「仮名手本忠臣蔵」。玉男さんが長年遣っていた大星由良助は蓑助さんが遣った。もちろん、蓑助さんはすばらしかった。でも、私はついつい蓑助さんの由良助の背後に玉男さんを感じながら見てしまっていた。
 公演プログラムにはいつも、大相撲の番付表のような、筆文字の配役表がついている。今回そこには、配役の部分が空欄になっている吉田玉男の名前もちゃんと記されていた。公演関係者も、玉男さんの復帰を願っているんだろうなと思った。たとえ舞台に立っていなくても、きっと玉男さんの存在そのものが文楽全体の心の支えだったのだ。そして千秋楽の今日、玉男さんは逝ってしまわれた。7月頃から入院されて、最後は肺炎だったそうだ。生涯現役、大往生だ。でもやっぱり悲しくてしかたがない。玉ちゃん(文楽ファンの友達と話すときはずっとそう呼んでました、ごめんなさい)のことを書いていたらきりがないけど、今日はここでやめておきます。

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コメント

残念ですね。玉男さんのご冥福をお祈り致します。

投稿: naomi | 2006年9月25日 (月) 10時57分

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