« マルガリータな日々 | トップページ | 感劇話その22「ただいま〜」内子座(2) »

2006年8月28日 (月)

感劇話その21「ただいま〜」内子座(1)

 去年に引き続き、8月最後の土日に内子座文楽公演を観に行ってきた。土曜日の朝、羽田から飛行機に乗り、11時に松山空港に降り立つ。ホテルにチェックイン後、内子座までは電車なのですぐにJR松山駅へ。……と、去年とほとんど同じコースをたどる。同行者も去年と同じ編集者S。切符を買ったら、ここからがお楽しみ。去年と同じ、改札のすぐ脇の店で揚げたてのじゃこ天を買い、売店で冷えた缶ビールを買い、それを昼ご飯にする。去年は電車の中で食べたが、今年は発車時刻まで30分近くもあったので待っていられず、ホームの隅でSと二人、冷たーいビール片手にあつあつのじゃこ天にかぶりつく。あー、シアワセ。改札脇の“手作りじゃこ天の実演販売の店”のおばちゃんたち、相変わらずみんな元気でやさしかった。
 内子は今年もガンガンに暑かった。でも駅からももう見慣れた1本道。大正の雰囲気を今に伝える木造・瓦葺きの内子座の建物が見えてきたときには思わず「ただいま〜」と叫んでしまった。今回観たのは午後の部で、「二人三番叟」「本朝廿四孝」「釣り女」の三つ。いずれも観るのは2〜3度目の演目だ。この中でのメインはやはり「本朝廿四孝」の“奥庭狐火の段”。許嫁の身を守るために凍り付いた諏訪湖を渡る八重垣姫に狐の霊力が乗り移るシーンでは、早変わりを始め、姫と狐の“舞い”(のような動きなので私が勝手にそういっているだけですが)など、目を奪われる見所が詰まっている。特にこの“舞い”のシーンは、文楽には珍しくリズミカルでテンポがすごくよく、熱気を帯びた感じの義太夫も印象的。私は前に京都の南座でこの“奥庭狐火の段”を観て、そのエンタテインメント性に涙が出るほど感激してしまったことがあったので、Sにも一度ぜひ観てほしかった。 
 で、予想通り、“奥庭狐火の段”は拍手喝采で終了。ただちょっと残念だったのは、八重垣姫と狐がからむ“舞い”の部分では本来、狐が4〜5匹登場するはずなんだけど、今回は2匹だけだったこと。おそらく内子座の小さい舞台に合わせて演出を少し変更したんだろうと思った。狐が4〜5匹出てくると迫力も増して、まるでエグザイルのダンスみたいに狐が八重垣姫の後ろでグルグル回るのがすごく魅力的なシーンなんだけどね......ま、仕方ない。大阪の文楽劇場や東京の国立劇場と違って、内子座みたいに昔ながらの芝居小屋は舞台の幅や奥行きも狭いので、場面展開など美術さんもなにかとご苦労があることだろう。でもこういう小さな芝居小屋って、だからこそ舞台と客席がすごく近くて、一体感があって、狭い中で膝を突き合わせるようにして舞台を観ながら、みんなで一緒に笑ったりほろりとしたりして、そういうのがすごく楽しい。だから内子座詣でもやめられないのだ。


Nec_0381Nec_0382

内子座の内部です。幕が開く前の舞台(左)と、木造の天井。

« マルガリータな日々 | トップページ | 感劇話その22「ただいま〜」内子座(2) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« マルガリータな日々 | トップページ | 感劇話その22「ただいま〜」内子座(2) »