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2006年5月18日 (木)

感劇話その17 オスカル、ペガサスに乗る

 先月末に行った宝塚公演の『ベルばら』の話。
 ちなみに、私は宝塚ファンというわけではない。これまでに、ヅカ・ファンの友達につきあったのと、取材とで、合計3回しか宝塚の舞台を観ていない。そのうちの1回は、おととし、ヅカファンの友達が組んだ”関西・文楽&宝塚ツアー”というのに参加したのだった。そして、そのときに舞台に立っていた雪組のトップスター、朝海ひかるを”いいなあ”と思って、それ以後、朝海さんのファンにはなっている(といっても、彼女の舞台を積極的に観ているわけ、でもないんだけど)。そんな私が、ヅカ・ファンBから、宝塚がまた『ベルばら』をやるという話を聞いたのは今年の春先のことだったろうか。しかも、オスカル役が朝海さんだというのだ。
 『ベルばら』ファン&朝海ファンの私、そりゃ〜あ観るしかないっしょ、というわけで、スーパー・ヅカ・ファンKちゃんにお願いして今回の東京公演のチケットをとってもらったのであった。最初に宝塚が『ベルばら』をやったのは70年代。安奈淳とか汀夏子とかがオスカルだったと記憶しているが、この当時はテレビで見ただけだった。だから、宝塚の『ベルばら』は今回が初体験なのだ。ちなみに、スーパーなKちゃんは4月と5月で『ベルばら』を5、6回観ているというのだから筋金入りスーパーである。
 私が観たのはもちろん”オスカル編”。ほかには”アントワネットとフェルゼン編”というのがあるらしい。朝海さんのオスカルはほんとーに美しくて勇ましくてまさに適役。圧巻は、オスカルがペガサスにまたがって駆けるシーンだった。フランス革命まっただ中のパリへ、衛兵の隊長として出動していくシーンで、漫画に出てくるオスカルの肖像画のイメージそのままに、ローマ神話の軍神マルスのような甲冑を身に着け、ブロンドの髪をひるがえしながら舞台を駆けるオスカル。ペガサスがクレーンで宙に浮いたり、客席のほうまで延びてきたりして、かなりの迫力。ちょっとキッチュな感じもあるけど、そこもまさに宝塚っぽい。そして背景には、漫画に出てくるのと同じ、池田理代子の描いたペガサスに乗るオスカルの肖像画がばーんと出てきて、いやがうえにも気分が盛り上がった(今回の舞台美術には池田理代子氏もかなり協力しているらしい、とKちゃんも言っていた)。
 男装の麗人オスカルが出てくる『ベルばら』ほど、宝塚歌劇にぴったりの舞台はないと思う。これはたぶん宝塚の人気ナンバーワンの舞台として、折にふれてずっと公演され続けるんじゃないだろうか。『ベルばら』が週刊マーガレットに連載されていたのは72年から73年。当時、小学生だった私はそれをリアルタイムではちゃんと読んでいなくて、あとになって高校生の頃にコミック本をまとめ読みした。それからはやン十年、今は文庫になっている『ベルバばら』を読み返したら、これがいま読んでもぜんぜん古さを感じさせず、読み始めたら最後、一気に5巻全部を朝までに読んでしまった。おまけに、全部知っているはずなのに、アンドレとオスカルが死ぬシーンではまたまた泣いてしまったのでありました。

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コメント

おお……と黒目に星がわいて瞬きそうな記事でした。「ベルばら」を読む読まないで、人生まで違ってきそうな気がします。少なくともわたしの場合は…。美意識は確実に影響を受けましたが、一時両性具有の観念にとりつかれプラトンの「饗宴」などにのめり込んだのにもその影響がある気がします。オスカルって、女性らしさと雄々しさを高純度で備えていて、あれはもう神話の神々の域かも…。

投稿: naomi | 2006年5月18日 (木) 11時53分

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