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2005年12月 5日 (月)

感劇話その7 落語と文楽がっぷり四つ

 なにかとあわただしい師走だが、今月は文楽東京公演というお楽しみもある。でもその前に、先日、若手さんの自主公演を観に行ってきた。文楽の太夫・三味線・人形遣いのそれぞれの若手約10人の公演で、落語とのコラボレーションもある。場所は、江戸東京博物館の大ホールだった。

 文楽と落語のコラボは、前に志の輔の公演でも経験済みだが、これがけっこうおもしろい。志の輔は文楽ファンでもあるらしく、彼自身が義太夫を語ってみせたりしながら、その横で人形がお芝居をするというような構成もあった。今回の若手公演は上方落語の桂かい枝をゲストに迎え、かい枝が古典落語の「野ざらし」を話すそばで人形が動き、ところどころで噺家と人形のからみもある。人間と、その2分の1サイズくらいの人形とのからみも違和感はまったくなく、かい枝もなかなかの演技派で、楽しめた。まさに、”古典芸能の好取り組み”という感じ。それにしても、噺家さんは演技もうまい人が多いなあ。みんな表現力がとても豊かだし。まあ考えてみれば、落語は語りがメインで終始座ってはいるものの、ある意味演劇に近いようなところもあるもんね。

 純粋な文楽の演目も2つあり、さらに、文楽は初めてという人に向けての太夫・三味線・人形の解説付き。やはりメンバーが20代〜30代だからか、若い女性客の占める割合が高く、ふだんの国立劇場の本公演ではあまり聞くことのない黄色いリアクション(弾むような甲高い笑い声とか)も多かった。こういうところで文楽に興味をもって、本公演に足を運んでくれる人が増えてくれるのは、文楽ファンとしては大いにウェルカム。実際、今回、文楽未体験の友達を数人誘ったのだが、彼女たちも「すごくおもしろかった。今度は国立劇場で観てみたい」と、好感触だった。

 大阪や東京の本公演の合間に、こんなふうにこまめに自主公演をやっている文楽の若手さんは、ほかにもけっこういらっしゃる。自分たちで公演場所を探して交渉し、少人数のスタッフで、かつ小規模な舞台装置でできる演目を工夫して、必要な人形や舞台装置を文楽協会から借りて......少ない時間の中でそれらすべてを自分たちでまかなうのは、なかなか大変なことだ。今回の自主公演は、メンバーの中に知り合いの人形遣いさんがいて、今年の春先から場所探しの相談を受けたりと(なんもお役にたてなかったが)、ある意味、公演実現までの内幕を観てきただけに、そのご苦労がかなり身近でわかったし、それだけに、大成功に終わって私自身も嬉しかった。

 若手の公演だからチケット代は本公演の半額以下でお手頃だし、たくさんの人が気軽に文楽に親しんでもらえるような、こういう機会がもっともっと増えてくれたらいいなあと思っている。そのためには、もちろん本公演は大事だけれど、スケジュールも含めて、も少し若手が活躍できる今回のような公演を運営しやすい環境が整っていけばいいのになあと思う今日この頃だ。

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